これが運の尽き。普段あまり後輩と接していない僕と飲みに行きたいという後輩が集まってしまい総勢15名ほどで飲みに行くことになってしまったのだ。かなりの計算外。最初に声を掛けてきた後輩は僕のそんな気持ちも知らずに「みんな遠慮しないで飲め!」と冗談交じりに後輩たちを煽り、ちょっとした宴会と化した。会計は10万を超え、果たしてどうしたものかと悩んでいると、ライブの楽屋でパチンコで大勝ちしたと言っていた後輩がいたことを思い出した。恥を忍んで後輩へ足りない分のお金を借りて無事にその場を切り抜けたのだが、いつもと違うことをするととんでもない目に遭うということを思い知らされた日だった。
ちなみに僕にお金を貸してくれた後輩へ対して、会うたびに小銭で返済するという謎の約束を一方的に取り付けて、数万円を3年ほどかけて完済したという思い出も追記しておく。
苦労して売れるという時代から、ふとしたきっかけで売れる時代になった今、多くお金を持っているのが後輩というパターンも少なくない。そんな時代だからこそ、先輩が絶対に奢るという暗黙のルールが消え始めているのだろう。
古き良き芸人の生き様は新しい芸人像で塗り替えられていく。何年後かには「デビューして1ヶ月で先輩たちに奢ってあげた」というエピソードが武勇伝として語り継がれていくのかもしれない。型にはまった破天荒な芸人よりも、個性が強い真面目な芸人の方が今の時代には合っている。