予告通り、九条は第1話にして何者かに突き落とされ、蘇った。正確には、犯行が行われた卒業式の1年前にあたる始業式にタイムリープした。犯人の手がかりは「D組卒業おめでとう」と書かれたコサージュ。つまりはD組の生徒30人が容疑者だ。奇妙な出来事に戸惑いつつも、1年後に死が待ち受ける運命を変えるため、九条は犯人につながる糸口を探そうと、平穏を心情とする教育スタイルを返上し、令和の時代にコンプライアンス全無視のあの手のこの手を尽くして生徒たちと向き合おうとする。

 第1話で九条が覆したのは、芦田愛菜演じる鵜久森 叶(うぐもり・かなう)の運命だった。クラス全員からいじめられ、不登校の末に命を絶つという結末が待ち受けている九条は、その運命を変えるべく、いじめの証拠を盗撮・盗聴・監禁という“アウト”な方法であぶり出した。「あなたのためなら何でもする」という言葉どおりの徹底ぶりに鵜久森は九条に心を開き、涙ながらにごく普通の高校生活を送りたいという思いを、九条とクライメイトに打ち明ける。若い命を救うことができなかった痛ましい出来事がニュースに流れる現代社会で、フィクションのセリフとして割り切れた視聴者はどれだけいただろうか。

 現代のいじめ問題にメスを入れた第1話だったが、九条殺害の容疑者がクラスにいることを忘れてはならない。“掃き溜めクラス”とののしられるほどの問題児にして曲者ぞろい。仮に10話完結だとしても、容疑者を絞り、犯行前に立証するのはさながら難解なパズルだ。

 第1話終了段階で候補を挙げるとしたら、まずは危険度で測りたい。問題児集団のリーダー・相楽琉偉(さがら・るい/加藤清史郎)は、自身に逆らうもの、自身の欲望を妨げるものに敵意をむき出しにする。その態度から犯人候補筆頭と言っていいだろう。ただ、目立つ相楽の陰で、九条への殺意を膨らませる存在が潜んでいる線もある。