農業高校畜産科を舞台にした『17歳は止まらない』

 農業高校に通う女子高生を主人公にした『17歳は止まらない』は、泥臭さを感じさせる生々しい青春映画となっている。北村美幸監督は映像系の専門学校を経て、アダルトビデオ業界で20年近くキャリアを積んできたオールドルーキー。10年間にわたってシナリオコンクールに応募し続ける生活を送ってきたそうだ。

北村「アダルトビデオの仕事は10年前に辞めました。シナリオを書くのに、中途半端な気持ちのままじゃダメだと思ったんです。最初に応募したシナリオコンクールで最終選考まで残ったので、その後はアルバイトしながら、シナリオを書いては改め、また応募するという生活を送ってきたんです。今回の『17歳は止まらない』は、あるコンクールで最終選考の手前まで残った脚本を書き改めたものです。最初のシナリオコンクールは本名で応募して最終選考に残ったんですが、誤植で『北村美幸』と掲載されたのを見て、『性別が分からない名前は面白いな』と、それからペンネームのひとつとして時々使うようになったんです。最終選考の面談に当たった東映ビデオの佐藤現プロデューサーは、おっさんが現れたので驚いたようです(笑)」

 企画のもとになったのは、農業高校の女子生徒たちを追ったテレビのドキュメンタリー番組だった。

北村「女の子たちが泥まみれになりながら家畜の世話を懸命にしている姿が印象に残ったんです。それとは別に、合コンした際に、『学生時代に塾の講師を好きになって、自宅にまで押し掛けたけど、オートロックさえ開けてもらえなかった。自信あったのに』というエピソードを面白おかしくしゃべる女の子がいたんです。10代の女の子のバイタリティーはすごいなぁと感心し、その2つを掛け合わせたシナリオにしています」

 農業高校の教師役に『偶然と想像』(21)や『愛なのに』(22)などに出演した中島歩、主人公の瑠璃に『釜石ラーメン物語』(公開中)でもメインキャストを演じている池田朱那、級友の彩菜に『レンタル×ファミリー』(公開中)の白石優愛ら、注目の若手俳優たちを起用している。