「TBSでは外資プラットフォームに対抗するため、テレビ東京、WOWOW、日本経済新聞社、電通、博報堂との6社で『プレミアム・プラットフォーム・ジャパン』という会社を立ち上げ、『Paravi』という動画配信サービスを2018年4月から始めましたが、今年3月31日付でU-NEXT社とプレミアム・プラットフォーム・ジャパン社が事業統合。7月1日よりParaviはU-NEXT内のレーベルという扱いになりました。
定額制動画配信の国内規模は前年比16.7%増と拡大中ですが、そのうちParaviの市場シェアは2%程度でした。そのため国内シェア1位のNetflixとの提携がこれまで必要だったわけですが、一方でU-NEXTは昨年度時点で国内2位となる12%強にまでシェアを伸ばしたと見られるなど勢いがある。そこにParaviの会員も加わったわけで、Netflixをさらに猛追する状況。今回の日曜劇場『VIVANT』はU-NEXTで全話配信されることになっていて、これをU-NEXTの目玉コンテンツにしようとしているのではないかと見られています。いうなれば、U-NEXTの加入者増加を見越したうえで、大きな予算をかけているとの見方もできるわけです。『VIVANT』は初回が108分の拡大スペシャル、第2話も79分(25分拡大)となっており、この1話ごとの尺の長さも配信を意識してのものと考えられます」(メディア関係者)
テレビ各局がネットでの動画配信を行っているが、Paraviは加入者数が低迷し、苦戦を強いられてきた。そんななかの打開策がU-NEXTに吸収される形での統合だった。
「Paraviに限らず、国産配信プラットフォームは加入者数の獲得に苦しんでいる状態。U-NEXTはここ数年成長していますが、その“勝因”のひとつが、とにかくラインナップの拡充に注力したこと。Paraviの吸収もその一環でしょう。中でもTBSの日曜劇場は、より幅広い層に向けてアピールできる目玉となりうる。テレビで日曜劇場を見ている視聴者の中には、有料配信サービスを利用していない層も多いでしょうからね。もしU-NEXTが、そういった“無料で日曜劇場を見ている層”を獲得できたら、かなり大きなアドバンテージになります」(同)