◆メロウな赤楚衛二
赤楚君の演技を見ているとなんだか落ち着く。このドラマ放送時間自体、“リラックス赤楚タイム”と言ってもいいだろう。
義理の弟・武田元気(岡山天音)の店で常連客の坂井戸洸稀(波瑠)からつめられる場面がなかなかいい。自分の勘違いに気づいた向井は、思わず目をキョロキョロさせる。ここでCMへ(「Essential THE BEAUTY 」バリアシリーズ)。
流れた曲を聴いて驚いた。久保田利伸のヒット曲「LA・LA・LA LOVE SONG」をtofubeatsとkojikojiがカバーしたバージョン。
シャンプー広告らしいラグジュアリーな雰囲気に合わせたゆったりテンポがなんともメロウ。なるほど、ドラマ本編とセットで楽しむCMソングか。
新入社員・中谷真由(田辺桃子)と食事をする場面では、好きなバンドの話で饒舌になった向井が、こう説明していた。
「メロウな感じで、ギターの心地がすごくいいんですよ」
メロウな赤楚衛二。彼の口から「メロウ」という一言がもれるとは。確かに本作の赤楚はゆったりとした雰囲気を醸し出している。いつものようにぼさっとしてるとこもあるが、それだけでもない。いつも以上にメロウなフレイバーがぱらぱらっと。
◆ゆったり調整する“赤楚年齢”
さて、ここで考えてみたいのは、向井の年齢についてだ。彼女いない歴10年の彼は現在33歳。あと2年もすれば、四捨五入でアラフォーという。完全にアラサーでもない、これまたちょうどいい絶妙な年齢設定だと思う。
アラサーでもアラフォーでもないとすると、いったいアラ何なのか。はてさてこれは答えに困るが、再びメロウがキーワードになる。
メロウとはゆったりした心地よい雰囲気の音楽を形容するときによく使われる表現だが、今風に言うなら「チル」。なのでメロウはアラサーより上の世代が使うイメージだ。
赤楚自身は、現在29歳。実年齢より4つも年齢が上の役を演じている。それをゆったり調整しながらうまくアジャストすると、向井役の心地よさが生まれる。
この役はいわば、メロウな“赤楚年齢”を生きているのだ。