◆スポットライトをあてたい顔

 第1話冒頭、赤楚衛二が振り返る。ドラマタイトルどおりのワンショット目に思わず身構えた。後光がさすさわやかさ。ありえないほど現実離れした、まさに夢のような表情。これこそスポットライトをあてたい顔だなと思った。

 赤楚演じる向井悟はTシャツメーカーで働いている。何かしらの撮影か展示があったのだろうか、クライアントの現場を終え、台車に積んだダンボールを運ぶ。廊下を進むとさっとさし込む照明に一瞬顔が照らされる。

 次に搬入口までくる。今度は昼の外光がちょうどいい背景色となる。赤楚の主演作ともなると冒頭から意識的にライトを当て続けたいものかと思うのだが、肝心の向井はあまりライトで照らされているとはいえない地味な人生なのだ。ここが面白い。

◆ギャップをあまり感じさせない

 あまり照らされていないといっても、仕事はできるし一見モテそうには見える。でもとにかくモテない。もう10年も彼女がいない。しかも実家暮らし。そりゃさらにモテなくなるだろうに。

 10年前の彼女との回想場面ではやけに柔らかなライティングが向井を包む。

 昔のハリウッド映画の女優を捉えたソフトフォーカス(フォーカスをあまくすることで淡い雰囲気になる)のような画面にさえ見える。この回想があくまで過去の夢でしかないことを際立たせる。

 10年後と現在では明らかに状況が違うはずなのに、あまり極端にギャップを感じさせない。赤楚の映え方はどんな場面やシチュエーションでも抜群に素晴らしい。