時間を短縮しながら精度を保つのが不可能なのは、どんな仕事も同じ。“品質”で勝負してきた日本野球にはそぐわないという意見は一理ある。また、ビジネスという観点から見ても、アメリカと日本は事情が異なっている。
「メジャーがあれだけの高年俸を選手に払えるのは、バックに莫大な放映権料があるからですが、日本はいまだに球場収入が占める割合が高い。試合時間が短くなればビールは売れなくなりますし、応援するのを楽しみにしているファンは、応援歌のサビを歌う前に打者が入れ替わるようになったら興味を失うかもしれません。応援グッズも大きな収入源ですから、これも球団には痛いはずです」(週刊誌スポーツ担当記者)
ただ、時代の流れとして、導入は避けられないというのが専門家の見方だ。
「ピッチクロックは次回のWBCで導入されることが確実視されており、ディフェンディングチャンピオンの日本は当然、対応しておくことが必要。試合時間が短くなれば、球場収入は減りますが、スタッフの労働時間も短くなるので、多少は相殺されます。そもそも選手たちも、試合が早く終われば早く飲みに行けるので、試合時間が短くなるのは大歓迎。ただ、現状でも2時間半で終わる試合はあるわけで、ピッチクロック導入で2時間を切る試合が出てくるようになると、“さすが
に早すぎる”といった声は出てくるでしょう」(前出・スポーツライター)
「プロ野球って、昔は3時間以上やってたらしいよ」と言われる日も、遠くはなさそうだ。