実は本作の監督、山口淳太監督にお話しをお伺いしたところ 全てのループシーンは実際に2分間きっかりになっており、数秒でもオーバーしてたら全て撮り直し。現場では「歩数」で秒数を調整していたという、その画面の素朴さとは裏腹に、とんでもなくシビアな撮影が行われており、物語の内容もまずロケ地を探してそこから物語を考えていくという、脚本の上田誠さんの、その才能が眩しすぎるくらいの所業。

 情熱を持って自分たちの「面白い」に向かって 愚直に創作活動をするこの方々の真面目さや丁寧さが、この作品の画面全てに写っているような、そんな気がします。

 監督のお話しで特に印象深かったのが物語の終盤、登場人物達が全員ある地点に駆けつけるシーンがあるんです。そのシーンは全員、長い階段や坂道を全力ダッシュ!

 役者さんはもちろん、カメラマンさんも全力ダッシュ! ベテランのカメラマンさんにそんな何度も撮り直しをさせるわけにはいかないと、監督がカメラマンをやると名乗り出た所、そのカメラマンさんは「俺に撮らしてくれ」と答えた話がとても好きでした。

 そこに、この映画の根っこの部分のような、全員で良いものを作ろうという気持ちや空気を感じます。