この、絶妙に何もできないけど、頑張ったら何かしらはできそうな時間 「2分」が「予想通り」で「予測不能」なストーリー展開になっており、物語後半はそのストーリーの展開と相まって、同じ2分間のはずなのにぐんぐんと加速していくような、とんでもないグルーヴ感を作り出していて、そのグルーヴ感は、役者の方々は勿論、スタッフの方々、美術さんカメラマンさん監督、全員が作り出しているグルーヴ感なんです。

 小規模な映画だからこその手作り感や、情熱、苦労や喜びみたいなもの温度が、ダイレクトに伝わってくるような、そんな映画です。

 登場人物達がループにどんどん慣れていって「私の初期位置はここです」や「このターン」みたいに自然と、状況を勝手に把握してそういう言葉遣いをしていく様や一向に温まらない熱燗や減らない雑炊、面倒臭い旅館の部屋の移動など……普通のSFループ物では味わえない、とても庶民的で可愛らしいアイデアが心地良くて。

 日常から少しはみ出してしまった非日常の面白さが、あまりほかの映画では感じないような、笑えるし、尖ってるし、愛らしくて暖かい、という不思議な気持ちになりました。

 そのギャップやバランスが本当に良い映画です。