史上最年少でプロ棋士となり、異常なペースで勝ち続ける中でブームはどんどん過熱。勝ち負けのみならず、タイトル戦で食べた昼食のメニューやおやつが話題になったり、豊富な語彙から生まれる発言が注目されたりと、まさに一挙手一投足がニュースになる状態。……ですが、将棋人口は減る一方です。

 藤井のおかげで将棋のニュースが報じられる機会は増えましたが、国民の大多数は藤井と羽生善治以外、誰ひとり現役のプロ棋士の名前を知らないはず。その状況を打破しないと、長続きしなかった羽生フィーバーのときの二の舞いになるでしょう」(エンタメ誌記者)

 スポーツとは違って、将棋のトッププロの対局は、素人にその凄みが伝わりにくいという弱みもある。それを噛み砕いて伝えられる人間がいるかどうかが将棋普及のポイントだが、その“伝道師”がなかなか見当たらない。

「何かがブームになるきっかけとして、やはりテレビの影響は大きい。例えば、夏の甲子園があれだけ盛り上がるようになった一因は、アンタッチャブル山崎、トータルテンボス藤田、アンジャッシュ渡部など、高校野球を異常に愛する芸人たちが、熱を込めてバラエティ番組でその魅力を語ったこともその一因でしょう。しかし将棋には、なかなかそういった人材が見当たりません。