将棋界のみならず日本中が注目する天才棋士・藤井聡太が6月1日、名人戦に勝利して7冠を達成。前人未到の全8冠制覇が現実味を帯びてきた。

藤井は現在、残り1つのタイトル「王座戦」のトーナメントも勝ち上がっており、最短なら8冠達成は今秋。これが実現すれば、羽生善治の7冠制覇(当時のタイトルは7つ)以来の将棋フィーバー到来が予想されるーーが、広く将棋界に目を向ければ、安泰という状況からは程遠い。

「将棋界は1990年代に羽生善治というスーパースターが登場し、NHKの朝ドラでも将棋がテーマの物語が放送されるなど、一大ブームとなりましたが、長くは続かなかった。10年代に入ると、トップ棋士がコンピュータに敗れたり、スマホによるカンニング騒動があったりと、明るい話題がありませんでしたが、そこに現れた救世主が藤井聡太です。