さて、ポストの今起きている日経平均史上最高値をつけた令和バブルについての論考記事は、まだまだ上がる、今が株の買い時だと煽るのかと思って読んだら、全く違った。

 誰もが浮かれていた1989年当時、世界の時価総額ランキングの上位を日本が占め、特に12の銀行がトップ50入りしていた。

 GDPが4%成長を記録し、山手線内の土地の値段でアメリカ全土が買えるといわれた。

 銀座のクラブではドンペリを開ける音が響き渡り、タクシーに乗れないからと、1万円札を運転手に見せるが、それでも乗車拒否された。

 今思っても狂った時代だった。だが、物価高でも給料も上がっていたから不満はいわなかった。郵便局の定期預金の金利が6%もあったのだ。

 バブルが崩壊して、失われた30年と呼ばれる低成長期に入った。リーマンショックがあったのが2008年。だが不思議なことに株価だけはこの頃上がり続けているのだ。

 しかし、海外の投資家マネーが流入して上がっているだけで、株を持っていない人間にまで恩恵は及ばず、株価が4万円をつけても国民生活が大きく変わることもなく、物価高と実質賃金の低下に苦しむだけのようだ。

 識者たちは、日銀が利上げをすれば、令和バブルは弾け、株価が10分の1にまで急落しても不思議ではないという人もいる。

 ポストは最後に、「そのままでは『失われた30年』は終わらない。令和の株バブルをごく一部の人の宴で終わらせず、日本経済全体が強く甦るための正念場は、これからやってくる」と結んでいる。至極真っ当だが、真っ当すぎてやや物足りない巻頭特集ではある。