「ホントの自分がわからなくなる。ホントの自分をどこに置くかわかんないけど、小学校のときにそんなにしゃべるほうでもなくて、なんならそれこそ動物が好きでみたいなのが、やっぱりテレビでちょっとした小ネタで悪く言う、なんならサービス精神できつい言葉を言う、それのほうの時間が長くなってきてるから、それを言うほうのが私になってる気がする」

 で、ここから若林が「俺も加害者の意識がちょっとあるのが」と語りはじめ、番組で若いアイドルと対立構図をつくり笑いをつくれるのは大久保ぐらいしかいないので、自分がMCだったとしたらどうしても振ってしまう、「俺が(きつい言葉を)言わせてる」とちょっとした反省の弁のようなものを述べるのだが、大久保はそれに対して「(私をこうしたのは)お前のせいだ……!」とボケ気味に返し、さらに光浦も「昔は優しい子だったよ……」と乗っかる流れが、いろいろ考えさせられつつ面白かった。

 環境にあわせて個人は変わっていく。人格のようなものも周囲にあわせて、ある面が広がったり狭まったりしていく。そうやって環境と個人があまり大きな齟齬なく重なっているような状況を、私たちは何気ない“日常”と呼んでいるのかもしれない。

 だからこそ、そんな何気ない日常を突き破るような異常な動きを普段着で、敬語で見せる有吉が面白い。日常の地平で異常をやることの異常。面白さもまた多面的なものだとしたら、そんな有吉を見るときの面白さは畏怖と呼べるような面をいくらか含んでいるのではないかと思う。