「ずっと瓜田純士を演じてきた」

 愛妻・麗子さんとのYouTubeチャンネル『瓜田夫婦』が軌道に乗り、著書もヒットを果たし、「BreakingDown」でも名を馳せるようになると、名もなきチンピラや昔の仲間たちから「瓜田はいいよな」と、後ろ指を指されるようになってきたという。「有名になって、きれいな奥さんもいて、おしゃべりだし、瓜田は成功してるからいいよ」そんな状況に、瓜田は「きっかけになるマインドセット」を教えたいと口にする。「セミナーみたいになっちゃうけど」とタトゥーだらけの顔で苦笑いしながら、瓜田は話し始めた。

「俺はね、ずっとね、幼少期から、自分が一番なりたい瓜田純士をずっと演じてきたんですよ。だから、俺の素の部分は奥さんしか知らない。ずっと俺は俺を演じてるんです」

 子どものころ、スーパースターに憧れたという瓜田。その対象は海外のロックスターやムービースターだったという。ガンズ・アンド・ローゼズ、モトリー・クルー、シルベスター・スタローンが演じた『ロッキー』……1980年代に世界を彩った名前が、瓜田の口から次々にこぼれていく。

「そういうスーパースターのマインドが、ずっと引っかかってたんです。若いころはヤクザ張って、いろんなことやってきたけど、どこか空しいんです。こんなこと、アクセル・ローズはやるのかな、絶対やらないよな。そう考えたときに、自分の中で恥ずかしいことをひとつずつ消してった。ロッキーみたいな、自分をえぐるようなヒーローに出会ったときに、自分もそれを演じなきゃいけない。そう思っちゃうんです。今『BreakingDown』の試合後のマイクなんかでカッコつけちゃうのも、自分がカッコいいと思って憧れた人たちの振る舞いなんですよ。自分の中で、『こいつイケてんな』って思った人たちの行動だったりを丸パクリして、自分でそれを演じ続けてきたんですよ、ちっちゃいときから」

 実際はヘタレだけど──そう明かす瓜田と、その言葉たちをひと言も逃すまいと固唾を飲んで耳を傾ける客席の瓜田ファン。さっきまで「マ●コマーク」で爆笑の渦に包まれていたのとは対照的に、会場は水を打ったように静まり返っていた。

 今は「奥さんに会って瓜田は変わったよね」と言われることが多くなり、麗子さんを褒められることが一番うれしいのだと、照れくさそうに瓜田は語った。