◆田中圭特有の演技マナー

 田中圭の演技には、彼特有のマナーがある。この場合のマナーとは、精神や規則くらいの意味合いだが、パターン化されたお決まりの演技には、一貫した魅力がある。

 高畑充希との共演ドラマ『unknown』は、冒頭から、この田中圭マナーが全開に炸裂する。交番勤務の警察官・朝田虎松(田中圭)は、見回りのとき、ひとりひとり丁寧に「おはようございます」と挨拶する。途中で、馴染みの居酒屋「どんぞこ」の店主・庭月源治(酒向芳)からじゃがいもをおすそ分けしてもらったり、とにかく町の人々から愛されている。

 虎松が設置する「盗み暴力、ダメ。ゼッタイ。」という立て看板の「ダメ、ゼッタイ」は、まさに田中が得意とする好印象で爽やか愛されキャラの正義感を象徴するような文言。はつらつとした心の声が漏れ聞こえる。

 こうした役柄を何度も繰り返して演じる中で、田中は演技のスタイルを深化させてきた。そうして確立された彼の演技マナーが、毎回視聴者を笑顔にしてくれる。