中田さんの中で今のお笑い界のシステムを変えたいと思う気持ちがあるのだろうが、そんなもの過去の芸人だって同じような気持ちを抱いていたはずだ。その時代に合ったシステムがあり、それに対して疑問を持ち、いつかこのシステムを変えてやろうと思う芸人は山ほどいたであろう。

 というか、ほとんどの芸人がそう思っている。しかし、その時代のシステムを変えるのは言葉ではなく行動であり、渦中の松本さんも、自身の力で時代を変えた一人である。ダウンタウンさんに憧れた芸人たちは、ネタの面白さやブーム感に憧れたわけではなく、お笑い界を目の前で改革していく姿に憧れたのだ。

 もし中田さんが今のお笑い界を改革したいと思っているなら、今のやり方は芸人らしからぬやり方だ。面白いと思われることをするのが芸人であり、面白いというのは笑顔になる事だ。ドキドキしたりスリルを味わったり、笑顔にならない「面白い」は本来芸人が責任を負う面白さではないのだ。芸人なら万人を笑顔にする「面白い」を追求してほしい。もし中田さんがもう“芸人”の枠にいないというのなら、お笑い界のことに口出ししない方が良い。

 さらに、松本さんの恩で売れたことがないから自分の発信する所で言っている、ということも言っているのだが、今のお笑い界の形になったのは間違いなくダウンタウンさんが存在していたからだ。そうなると、今活躍している芸人は皆ダウンタウンさんの作り変えたお笑い界によって売れたと言える。直接何か恩がないからといってそう思うのはとても短絡的で、とても浅はかな考えで、思慮深いイメージのある中田さんが本当に思っているのか、にわかには信じがたい。