が、放送された『THE SECOND』を見終わって残ったのは、楽しかったという印象だった。

 もちろん、番組はこの大会が漫才師たちにとってのセカンドチャンスであることをしばしば強調していた。オープニングのVTRでは、最終決戦に残った芸人たちの声でこれまでの不遇が語られた。各組の紹介VTRでは、これからネタをする芸人たちが過去に掴み損ねたファーストチャンスを語っていた。

 その意味で、悲劇の物語のようなものはたしかに『THE SECOND』という番組を枠付けている。そういうフレーミングは行われているのだけれど、では、実際の中身はどうだったかというと、あまり悲劇性は感じなかった。むしろ、楽しかった。敗れた漫才師が悔しさで目元をうるませているようなシーンもあったし、優勝したギャロップの林健が「くすぶってるみんな、夢むちゃくちゃあるよ!」とトロフィーを掲げて呼びかけたりもした。そういった個々のシーンにグッときたりもしたし、もちろん出場している芸人たちにとっては楽しめない状況もあったりするのだろうけれど、テレビを見ている側としては全体として楽しかった。

 そんな感覚は、今大会にアンバサダーとして関わっていた松本人志(ダウンタウン)の、エンディングでのひと言とも関係しているはずだ。