国産Netflixドラマの代表作『全裸監督』では四人の脚本家が分担して1話を執筆し、たとえば男性キャラクターの台詞は男性脚本家が、女性キャラクターの台詞は女性脚本家が書くといった型で分担して執筆された。つまり脚本家自体が俳優のように一人一人のキャラクターを受け持ち、そのキャラクターならこう言うという台詞を書くのだ。これなら各話毎にキャラクターがぶれるということはない。
今回の『離婚しようよ』は『全裸監督』のケースと違い、シーンごとにリレー形式で描いている。そのため、一人のキャラクターの台詞を二人が描くこともあったが、二人のやりとりの中で書かれていたため、キャラクターや世界観にブレがなく、宮藤と大石の作家性が共存する稀有な作品に仕上がっていた。
この手法を洗練させていくと、日本を代表する脚本家、たとえば宮藤官九郎と大石静と三谷幸喜と坂元裕二と野木亜紀子と野島伸司が1本のドラマを描くといった今までにない試みも実現できるかもしれない。独立したドラマとしての面白さもさることながら、脚本執筆という手法の側面から観ても画期的な作品である。