◆とびきり神秘的な微笑み
この「はい」だけでなく、結構新名は謎な反応と行動を繰り返す人なのだが、最終話でふたたびこの二文字を発している。陽一のカフェで、新名、吉野両夫婦(正確には元夫婦)が勢揃いし、決着をつけようとする本作のクライマックス。
店を出た新名とみちと楓の3人が雨の中、傘を差して短い会話を交わす。ひとり足取りがとまるみちは「忘れもの」と言う。それに対して新名は口角をあげたとびきりの微笑みを浮かべ、「はい」とだけ優しげに発する。
この「はい」ならまだどんな気持ちかわかる気はする。でもよーく見ると、まるでモナリザのような神秘さをたたえているようで、表情の意味が読みにくい。
第10話の「はい」と最終話でのそれには数ヶ月間の隔たりがある。その間、新名はどんな魔法にかかってこんな神秘的な微笑みをするようになったのか。謎は深まる。
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