他にも「幸せは不幸への前フリだ」とか「絶望の対義語は希望じゃなくて不安」とか「嫌いという感情は人への恐れをなくす」など、絶望的な境遇で培ってきた彼の人生訓がものすごいスピードで開示されている。

『絶望ラジオ』には数々の絶望的なお便りが届くのだが、永田くんはそれを絶望側からそっと感想を述べる。それは決してアドバイスでもなければ慰めでもないのだが、何よりも「誰がどう見ても絶望側にいる人間」が発言することこそが、あらゆる事情で絶望を感じているリスナーにとって何よりの支えになっているのだ。絶望側から聞こえてくる永田くんの声は微かであってもまぎれもなく希望なのだ。これは良く言いすぎているけど本当にそう思う。

 しかも永田くんがすごいのは、絶望側から発言しつつ決して卑屈一辺倒ではないところだ。彼のトークには世の中への僻みだけに留まらない「学び」がある。さらに永田くんは陰と陽でいうところの完全に「陰」の人間なのだが、めちゃくちゃ口数が多い。ボソボソしゃべるどころかベラベラしゃべっている。おまけに家族ともかなり仲がいいし、ディズニーランドをこよなく愛している。浅はかな僕たちが作り上げてきた「絶望側の人間」のイメージをことごとく破壊してくる永田くんはニュータイプ「絶望2.0」なのである。ラジオも本人自身も、これから今以上に話題になることは間違いないだろう。