絶望しているのに卑屈一辺倒ではない

 しかし冒頭で話した通り、今、永田くんが再び脚光を浴びつつある。この10年、いや、これまでの人生全てにおいて溜めてきた負のパワーを直接ネタに反映させた人間味丸出しの漫談が、唯一無二の異彩を放ちながら輝き始めたのだ。

『R-1』敗退が決まってすぐ、永田くんの冠ラジオ番組『永田敬介の絶望ラジオ』(stand.fm)がスタートした。「永田敬介が日々の絶望を吐き出し、人生に希望を感じたら最終回」というコンセプトのもと、ほかのラジオ番組とは一線を画す陰鬱な雰囲気でトークが展開されている。

 僕は番組にプロデューサーとして関わっているのだが、永田くんの一級品の絶望を煮詰めた話が、独特の語り口で聞けて本当に面白い。文字だと限界があるかもしれないが、永田くんが1人でUSJに行ったときのトークを少し紹介したい。

永田敬介の絶望ラジオ #6「USJで絶望」
永田「(係の人に)乗り物に並ぶときに『お1人の方はこちらへどうぞ』って言われて、USJには「シングルライダー」っていう特別な列があって、そこで自分が特殊だったっていうことに気づいて、普通の客じゃないんだと思って、1人でUSJに来る奴なんていないんですよね。ハリーポッターの乗り物が110分待ちだったんですけど、シングルライダーはすぐ乗れて。友達と乗るっていうのは110分の価値があるのかと…」