主人公の涼子は、記憶にない暴行事件によって1年前に弁護士としての富と名声、そして法を司る者としての命でもある信用を失っただけでなく、なぜ「椎名レンズ」社長の椎名保(野間口徹)を公衆の面前で殴り続ける凶行を起こしてしまったのか、自分でもまったく覚えがないという苦しみを抱えていた。相棒の貴山もまた、父親が突如、母と妹を殺した「容疑者」として植物状態となってしまい、謎に包まれた真相に苦しめられながら、「容疑者の息子」としてまっとうに働けなくなり、裏社会でしばらくその手を汚すことになった。貴山は涼子とタッグを組む中で、父親にずっと抱いてきた恨みや怒りが誤解だったことを知る。そして、第10話では涼子に暴行事件を引き起こさせた後催眠暗示をかけたのが貴山であることがわかるが、ずっと悔やんできた貴山の心からの謝罪を涼子は受け入れ、2人は事件の真相解明を決意する。第1話と比べると、軽口を言い合う、つかず離れずの関係性は一見変わっていないように見えるが、その奥にある目には見えない2人の絆は、間違いなく強固になった。

 そして最終話は涼子の過去に決着を着ける展開になったが、諫間久実(白石聖)の中にある父親への複雑な思いもまた、テーマとしてあったのかもしれない。涼子に催眠をかけるよう指示したのは、久実の父親である総合商社社長・諫間慶介(仲村トオル)だった。涼子を慕い、上水流エージェンシーで働きたい久実にとって、涼子と諫間の犬猿の仲は解決したい問題だったが、そもそも2人が仲たがいしたきっかけとなる暴行事件そのものに諫間は関わっていたのだ。

 前回、貴山の“闇バイト”時代のボスである氷川玲児(阿部亮平)を取り逃してしまったが、氷川は椎名を拉致・監禁。第1話では貴山が悪徳ブローカーに監禁されハラハラしたものだが、今回は時限爆弾付きとその比ではないが、ダチョウ俱楽部のネタが差し込まれるなど、いつも以上に“平常運転”の涼子&貴山タッグが椎名の救出に成功する。

 そして事の真相がついに明らかに。天体望遠鏡のレンズをつくっていた椎名レンズ社長の椎名は2年前に特殊なレンズの開発に成功したことで、「3776計画」というプロジェクトに巻き込まれていた。諫間は、小さな町工場に過ぎない椎名レンズとの合併話を持ち掛けてまでも、さらなるレンズ開発を椎名に要求。それを熱意と受け取った椎名は引き受けるが、諫間は頑なにレンズの用途を明かさない。不安に思った椎名はそこで「3776計画」という極秘資料を諫間のデスクの上で発見。そこで当時、諫間グループの顧問弁護士だった涼子に「3776計画」について尋ねようとしたところ、涼子の暗示が発動し、暴行事件に発展したのだった。