貴山は罪を正面から謝罪し、涼子はすべてを受け入れたうえでオンリーワンの相棒としてふたたび貴山を迎え入れる。第1話から抜群の呼吸で悪を成敗してきたふたりだったが、それは完成形ではなかった。ふたりの間には互いに「秘密」が横たわっていたが、回を重ねるごとに絆が深まり、「過ごした深さ」で築かれた信頼によって、ふたりはついに本物のバディとなったのだ。

 氷川は取り逃がすことになってしまったが、抜け目ない貴山は、涼子の後催眠暗示を依頼した人物を氷川から聞き出すことに成功していた。その黒幕はやはり、諫間慶介(仲村トオル)。筆者がにらんだとおり、娘の久実(白石聖)が上水流エージェンシーで勤めるとなったときに就職祝いといって持たせた花瓶にはやはり盗聴器が仕込まれており、諫間が黒幕であると貴山が涼子に明かした会話も、すべて諫間に筒抜けだった。

 今夜放送の最終話では、天敵・諫間との本格的な潰し合いが行われそうだ。それと同時に気になるのが、予告映像にも出てきた「3776計画」なるプロジェクトと、なぜ諫間が涼子に椎名を殴らせたのかということ。第9話のラストで「完成には、まだ」「時間がかかって申し訳ありません」と意味深な会話をしていた椎名は、次回の予告映像では拉致されている姿も見受けられ、涼子と貴山が壮大な陰謀に巻き込まれるのは濃厚だ。諫間を上回る“真の黒幕”が登場するセンもまだ残っており、ひとつやふたつのどんでん返しでは済まない、予測不可能な展開になるのではないか。エンタメとシリアスを掛け合わせた『合理的にあり得ない』だけに、集大成となる最終話も“あり得ない”内容になることを期待したい。

■番組情報
月曜ドラマ『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~
フジテレビ系毎週月曜22時~
出演:天海祐希、松下洸平、白石聖、中川大輔、丸山智己、仲村トオル ほか
原作:柚月裕子『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』(講談社文庫)
脚本:根本ノンジ
音楽:眞鍋昭大
主題歌:ざきのすけ。「彼は誰どき」(ソニー・ミュージックレーベル)
プロデューサー:萩原崇、清家優輝
演出:光野道夫、二宮崇、倉木義典
制作協力:ファインエンターテイメント
製作・著作:カンテレ
公式サイト:ktv.jp/arienai