家族は年金を不正受給し、父と息子は万引きを繰り返して逞しく生きる。公開時には「犯罪行為を美談にしている」といった批判があった。同じような批判は翌年にやはり、カンヌ映画祭のパルム・ドールを受賞し、アカデミー賞で作品賞を含む6部門制はとなった韓国映画の『パラサイト 半地下の家族』(2019)にも起きた。世界的には韓国映画史上初のパルム・ドール、アカデミー受賞作品となり大変な反響があったとされるが、底辺の生活をする一家が金持ちに寄生し、挙句殺人行為まで犯す様に。

「韓国には他にもたくさん良作があるのに、世界に認められた最初のやつがこれか?」「悪い映画じゃないけど、韓国があんなに貧乏くさい国だと思われるのは迷惑だ」

といった批判が韓国内の一部であったという。

『万引き家族』は実際に遭った事件を元に創作されたが、日本の問題をあぶりだした作品ともいえる。そういった部分に目を背け、見て見ぬふりをしてきた人々には『万引き家族』は唾棄すべき恥部ということになるのだろう。

 そして今回の『怪物』も様々な論争を巻き起こしている。