半“素人”としてテレビ業界に現れた大久保佳代子

 その歩みを確認しよう。大久保が光浦靖子とともにオアシズとして芸能事務所・人力舎に所属したのは1992年。翌年にはフジテレビ系の深夜バラエティ『新しい波』にコンビとして出演を果たした。しかし、その後始まった番組『とぶくすり』のレギュラーとなったのは光浦のみで、さらにその後継番組『めちゃ×2モテたいッ!』『めちゃ×2イケてるッ!』にも大久保の名前はなかった。

 ただ、99年頃から少しずつ、光浦の相方として『めちゃイケ』に出始め、2000年からはレギュラー出演者になった。この頃の彼女のキャラクターは「OLの大久保さん」。OLというキャラ付けは『めちゃイケ』の演出によるところも大きかったようだが、実際、この頃はコールセンターで働いていたようだ。いまでこそ彼女のような兼業芸人は珍しくないものの、当時は異質な存在だった。いわば半“素人”のような不安定な状態で、彼女は世の中に現れた。

「『めちゃイケ』も特殊な番組なんだけど、あの中で役割を与えられる。『OLの大久保さん』だったら、OLっぽいことを常日頃から言ってくださいとか。わかりやすく(世の中に)提示してくれたのかな、逆に言うと」(『イワクラと吉住の番組』テレビ朝日系、22年7月12日)

 大久保といえば、カッコいい俳優や若い女性アイドルなどへの“セクハラ”めいた言動や“下ネタ”が印象的だ。あるいは“ブサイク”をイジられたり自虐したりといった振る舞いもよく見てきた。『めちゃイケ』でもそういったキャラクターを求められていた。もちろん、彼女の気質にある程度マッチしていたキャラではあるのだろうが。