『ザ・ノンフィクション』オールドルーキーには「思い出」がない

 いくつになっても夢を追っていいと思うし、実際、終身雇用制度が期待できなくなった今、若くない年齢で新たなキャリアをスタートさせる人は、かつてよりずっと増えてきている。

 それでも職業によっては「若いうちに始めないとかなり不利」なものもやはりあり、芸能なんてその頂点みたいな業界だろう。そもそも若さが求められる業界でもあるのだが、さらに若い頃から活動していれば、「その芸能人を見聞した日数」がファンならずとも一般の人々にとっても、「思い出」としてカウントされるものだ。

 渦中の人物である広末涼子も、「そういえば早大受験のときも世間は大騒ぎだったな」とか、ファンでない私ですら「広末との思い出」がある。いち視聴者ですらこうなのだから、芸能人を起用するスタッフ側にしてみたら、なおさらだろう。遅く世に出ようとするオールドルーキーは、多くの人にとって「思い出のない知らない大人」だ。

 なお、今回同番組のナレーションを務めていたのは女優・松本まりかで、彼女は30代を過ぎてからブレークした遅咲きだが、芸能活動は10代から始めている。