尖ったスキルがないなら、中国では話にならない

――ここまで聞いて、中国のビジネスシーンに興味を持った人も多いのではないかと思います。中国で求められる人材とは、どんなものでしょうか?

黄さん :一言で言えば、技術のある人です。「プログラミングで顕著な成績を残した」とか「こんなにクオリティの高いイラストが描ける」とか、わかりやすい武器が第一に求められます。日本だと年収800万円くらいのエンジニアが、中国に行ったら2,000万円稼げたなんて、ザラにある話です。

逆に日本で年収400万円くらいの人材は、中国に行っても100万円も稼げないかもしれない。日本は尖ったスキルを持っていなくても生きていける国ですが中国はそうではない。もし中国で働くことに興味があるならば、言葉というディスアドバンテージを抱えた上に何か明確な武器もないのであれば、人材として全く話になりません。

――黄さんが考える、中国のビジネスシーンの面白さとは?

黄さん :動きが速い。それに尽きますね。経済成長のスピードと、社会が進むスピードはある程度比例すると思います。それに中国は人口14億人もいるので、頑張らないと淘汰されてしまう。だから、国全体のスピードがどんどん速くなって、意思決定のスピードも速ければ、昇進のスピードも速いし、社会が変化していくスピードも速い。逆に実力がなければ淘汰されるスピードだって速い。だから中国のビジネスシーンに身を置けば、1年が10年のような濃い時間を過ごすことができますよ。

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【黄未来 プロフィール】
1989年中国・西安市生まれ。6歳で来日。早稲田大学先進理工学部を卒業後、2012年に三井物産に入社。国際貿易及び投資管理に6年半従事したのち、2018年秋より上海交通大学ビジネススクールにMBA留学。マーケティングマネージャーとしてバイトダンス北京本社に勤務し、2020年1月に退職。現在は中国トレンドマーケターとして、ビジネス系オンラインサロン「中国トレンド情報局」を主宰。2019年10月、初の著書『TikTok 最強のSNSは中国から生まれる』をダイヤモンド社より出版。

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