ペドファイルのネズミ講売春組織構築に尽力した売春館マダム、ギレーヌ・マックスウェル

ソローキンがドイツの資産家の令嬢と言う触れ込みで、NYの上流社会に殴り込みをかけたのに対して、メディア王ルパート・マードックの宿敵ロバート・マックスウェルの末娘で後継者として父に溺愛されたギレーヌの波乱万丈の人生も、一大スキャンダルとなりました。2021年6月7日「エプスタイン亡き後、被告ギレーヌ・マックスウェルに世間の目が集まる!」でご紹介した「ギレーヌ・マックスウェルー性犯罪者エプスタインに加担した女ー」は、生い立ちから謎の成金ジェフリー・エプスタインのネズミ講売春組織のマダム役を務めて人身取引、性的搾取、偽証罪をはじめとする計8件の容疑で起訴されるまでを記録したドキュメンタリー・シリーズです。

金融アドバイザーとは名ばかり、ゆすりたかりで財を成した詐欺師=どこの馬の骨だかわからないエプスタインに、英国/欧州から持ち込んだ各界のコネを利用して、仮初めの「箔をつけた」マックスウェルが、図らずも父親級の悪党に育て上げてしまったこと、贅沢な生活しか知らないお嬢様は、父の死後、’奔放なライフスタイル’を維持する為に、18歳以下の少女を品定め・調達・仕込む等、エプスタインの異常な欲望(幼児性的虐待)を満たすためにネズミ講売春組織構築に尽力したことが綴られています。NYでの追訴公判を控えたエプスタインが、2019年8月に収監先で怪死を遂げて、マックスウェル一族のお姫様は雲隠れを決め込み、人生最大のピンチをあわよくば金の力で乗り切ろうとしましたが、2020年7月2日、禁固80年の刑が課される可能性がある性犯罪目的の未成年者誘拐や売春斡旋共謀などの容疑で、FBIに逮捕されました。幾らでもチャンスはあったのに、海外に逃亡しなかったのは未だに謎です。それだけ自信があったのか、単なる驕りの現れだったのでしょうか?

2022年6月28日、未成年人身売買を含む5件の罪状で有罪となったマックスウェルは、禁固20年を言い渡されました。検察は禁錮30〜55年を、保護観察局は20年、弁護側は4年3ヶ月〜5年3ヶ月を求刑していた事実を見れば、20年は妥当なのかも知れませんが、当初言われていた禁錮80年の僅か4分の1です。各界の大物/著名人が名を連ねるクライアント・リスト(トランプ、クリントン、ビル・ゲイツ、トランプ政権時代に見え隠れした悪徳政治家/政府高官/弁護士/ロビイスト、#MeToo運動最盛期に芸能界を追放されたウッディー・アレンやセクハラ・プロデューサー等々)や人身売買の証拠ビデオを提出した司法取引の結果がこの減刑だったに違いありません。残念ながら、クライアント・リストは公表されていませんし、どのような裏取引があったのか知る由はありません。

実刑判決を受けたマックスウェルは、2022年7月2日、逮捕後丸2年収監されていたブルックリン区にあるメトロポリタン・ディテンション・センター(連邦拘置所)を後にして、フロリダ州タラハシーにある連邦矯正施設に収監されました。受刑者は男女合わせて820人、セキュリティレベル1のヨガや音楽/工芸教室やスポーツが楽しめる矯正施設と謳っていますが、マックスウェルが最初に仲良くなったのが、殺し屋を雇って夫と義母を消した悪名高き終身刑受刑者ナーシー・ノバック(65歳)と言いますから、ホームズが収監されているホワイトカラー犯罪用のClub Fedほど、安全な場所ではないのかも知れません。

最近報じられたマックスウェルの獄中の事件(単にデッチ上げかも知れませんが)は、「炊事作業員から受けている特別待遇をバラされたくなかったら、差し入れ金360ドル(毎月の限度額)を寄越せ!」と女囚2名に恐喝されたと所長に告げ口して、護衛を付けなければいけない程、身の危険を感じていると言うものです。申し立ての真偽の程は明らかではありませんが、ある元受刑者は、マックスウェルの身から出た錆だと分析します。連邦拘置所に収監された2年の体験から何も学習しておらず、刑務所内の仁義/不文律/階級制度等に通じていないようなデカイ態度だと言います。未成年者に危害を加えた人身売買罪でムショ入りした人間は、最も卑劣な人でなしとして扱われ、どんな仕打ちを受けても告げ口だけは御法度、黙って耐えるしかない階級最下位の立場だからです。前出のお友達ノバックは、刑務所暮らしの長さと、犯行の残忍性からタラハシーの女囚ボスとなった人ですから、マックスウェルを庇ってくれそうなものですが. . .仁義を切れとまでは言いませんが、贅沢三昧、自由奔放に生きてきたお姫様が還暦を迎えた今、ルールを守って穏便に生きようと努力するなど考えられません。三つ子の魂百までと言うではありませんか?

マックスウェルはメトロポリタン連邦拘置所にいる時から、獄中で受けた待遇を「虐待」と解釈して、弁護士を通して改善を求める訴状を何度も提出しています。エプスタインの怪死で、共犯者マックスウェル独りが罪の償いを背負わされる可能性が高くなり、自殺の恐れがあると、24時間の監視カメラに加えて、15分毎に生きていることを確認するために懐中電灯で照らし出されて眠れないとか、マックスウェルの同意なしに心理カウンセラーが検閲して人権を無視する等、「虐待」への不平不満は後を絶ちません。虐待を理由に保釈要求を9回も提出しましたが、NY南部地区地方裁判所のアリソン・ネイサン判事は、海外逃亡の手立てが充分にあることを理由に却下しています。

一つだけ、笑えるニュースがあります。タラハシー連邦矯正施設で、マックスウェルがエチケット教室を開くと言うチラシを見つけました。「マックスウェル夫人(明らかに間違い)は、エチケットの三本柱である尊敬の念、思いやり、誠意についてお話しして下さいます」と内容を説明しています。はー?!!!正にその三本柱がない人間だから、お務めしているのでは?本当にこんな教室が実施されたのか?マックスウェルが囚人相手に教鞭を執るだろうか?などと考える度に、笑いがこみ上げて来て止まりません。義理人情の厚い人は、収監される程の違法行為には走りませんし、逆に受刑者に今更、エチケットなんて教えてどうしようと言うのでしょう?入所する前に、刑務所内の仁義/不文律/階級制度を教えた方が良いのではありませんか?それとも、サメがうようよしている海中に放り込んで、泳ぎ切れる人間だけが生き残る権利を有すると身を以て体験するのが、臭い飯を食う意義なのでしょうか?マックスウェル自身がサメですから、他のサメと共喰いになるのでは?. . .などと、取り留めもない疑問がどんどん浮かんで来ます。(笑)

ホームズ、ソローキン同様、マックスウェルも自己愛性ソシオパスの最たる実例です。それが証拠に、判決直前に「エプスタインの罪を私が償うのは公平ではない」と述べ、有罪判決を受けたことを認めつつ、被害者におざなりの謝罪をした上で、耳にたこができる程繰り返して来た言い訳を此の期に及んで並べ立てました。ネイサン判事は、「エプスタインの罪を償うのではない。あなた自身の言動を処罰する判決だ」と述べ、自己愛性ソシオパス振りを指摘、非難しました。しかし、欲望の道具に使い捨てにしたサバイバー女性達(クズと総称していた)には何の感情も見せなかったマックスウェルから、謝罪らしき言葉をかけられた人が約1名います。

中央ピンクのタンクトップが、原告ヴァージニア・ロバーツ(旧姓)で、17歳当時の三人の関係の証拠として提出した写真。ギレーヌ・マックスウェル(右)は、どこの馬の骨だかわからないジェフリー・エプスタインに、元彼アンドルー(左)を紹介して「箔をつけ」、社交界での地位を確固たるものにした。得体は知れないが、金や自家用ジェットを自由に使わせてくれ、ちやほや持て囃してくれるエプスタインは、アンドルー王子の願っても無い金蔓だった。Photo by Peacock

類は友を呼ぶとはうまく言ったものです。「欲望三銃士」と呼ばれるエプスタインとアンドルー王子との間をとり持つ糊役がマックスウェルで、三人は金・力・色を求めて性的虐待のネズミ講売春組織に関与していました。「欲望三銃士」の関係は、2014年にエプスタインがフロリダ州ウエスト・パームビーチの売春館で、マックスウェルが調達してきた未成年(18歳以下)少女にマッサージという名の性的虐待を強要した罪で起訴された時に既に発覚していましたが、その時点ではアンドルー王子はクライアント・リストに挙がっていたのみで、確固たる証拠はなく、幼児性的虐待者エプスタインと親交があったのか?という疑惑で終わっています。しかし、エプスタインの怪死とマックスウェルの行方不明が引き金となり、2021年8月、ヴァージニア・ロバーツ・ジュフリーが、当時17歳のロバーツ(旧姓)に、3回に渡りアンドルー王子が性的虐待を強要したと訴えたため、民事訴訟とは言え被告として裁判に引きずり出されそうになる前代未聞のスキャンダルに発展してしまったのです。詳細は22年11月8日の「英国王室激動の1990年代を描く『ザ・クラウン5』と、女王のお気に入りから欲望三銃士に転落!お先真っ暗の放蕩息子アンドルー王子のドキュメンタリー『Prince Andrew: Banished』」をご覧ください。

2022年10月15日「デイリーメール」や「ザ・サン」等の英国メディアによる初の獄中インタビューの中で、マックスウェルは「あんな大ごとになってしまって、本当に申し訳ない」と述べ、「親愛なる友達」を失ったことへの後悔の念を表しました。今更、謝ってもらっても、覆水盆に返らず。王室の役職や軍役職を剥奪されて無職無収入、面目は地に落ち、今や誰も相手にしてくれません。示談に持ち込んで罪状否認を続けるアンドルー王子は、今後民事訴訟に引っ張り出されることはありませんが、ジュフリーに支払う1400万ユーロをどこでどう工面するのでしょう?そんなに後悔しているのなら、1400万ユーロを調達してあげればチャラにしてもらえるかも知れませんよ、アラカン姫。

こうして3人の自己愛性ソシオパスを分析してみると、家柄も資産もゼロから出発してNYのハイソサエティをアンナ旋風に巻き込んだソローキンが、最も強かな女なのかも知れません。