ミレニアル詐欺師第一弾「令嬢アンナの真実」は、アンナ・ソローキンから映像権を買い取ってドラマ化したが、本人は「でたらめで見るに堪えない」と批判。ミレニアル詐欺師第三弾のエリザベス・ホームズの自主、アンドルー王子を巻き込んだ前代未聞のセックス・スキャンダルに加担した売春館マダムの近況も合わせてレポートする。

第二のスティーブ・ジョブスを目指したセラノス社創業者エリザベス・ホームズ

2022年9月24日の「ミレニアル詐欺師第三弾は、第二のスティーブ・ジョブスを目指したセラノス社創業者エリザベス・ホームズ」でご紹介した、自称シリコンバレーのマリー・キュリーにのし上がったものの、スーパー・ユニコーンの座から引きずり下ろされたエリザベス・ホームズです。

限定シリーズ「ドロップアウト〜シリコンバレーを騙した女」は、当時陪審員が観たら、ホームズの言い訳「失敗は犯罪ではない」「野心的展望や見込みと嘘は別物」を鵜呑みにしてしまうのではないか?と心配した程好意的で、シャーデンフロイデ(=「ひとの不幸は蜜の味」)をほとんど味わえませんでした。

しかし、現実は白人至上主義を謳っていたトランプ政権から、ホワイトカラー犯罪を厳しく取り締まる方針を打ち出したバイデン政権に交代、これまで野放しになっていた誇大広告や詐欺、不当表示が代表するシリコンバレーの鉄則「できるまで、できるフリをしろ」は、起訴されて量刑を受けるぞ!と言う見せしめであるかのようにホームズが処罰されました。2022年11月18日、投資家から7億ドル強を騙し取った11件中4件の詐欺罪で135ヶ月の量刑判決を受けたホームズは、今年4月27日に自首して刑期を開始する筈だったのですが、服役中の2歳児と乳飲み児の子守を探すのに時間がかかる!と(時間はたっぷりあったと思いますが. . .)、刑期開始日を1カ月余り引き伸ばすことにも成功し、1%の1%(特権階級)振りを発揮しています。さ、す、が。

5月30日、11年3ヶ月の禁固刑を受けるべく、テキサス州ブライアンにある連邦刑務所キャンプに自首しました。「Club Fed」の渾名で呼ばれる連邦刑務所は、セキュリティレベル1のホワイトカラー犯罪女子寮(?)で、武装警備員はおらず、仕事指向の寄宿学校のような収監許容数655人の矯正施設です。因みに、「カリスマ主婦」マーサ・スチュワートも、インサイダー取引で有罪判決を受け、ここで5ヶ月服役しました。ホームズは、今年8月末まで報奨金時給12〜40セントの炊事作業が課され、9月以降は刑務所敷地内の庭か施設清掃のいずれかの刑務作業に就くことになります。

 

溺れる者は藁をも掴むという表現がぴったりのホームズの弁護団は、パンデミックは仕方がないとしても、出産を理由に裁判自体を延々と先送りした上、ありとあらゆる言い訳で控訴や再審請求を提出しました。有罪判決を受けても50万ドルの保釈金を積んで、9LDKの豪邸でぬくぬくと暮らし、裁判〜判決宣告の間に、2021年7月10日に長男ウィリアム、23年2月9日に長女インヴィクタを出産し、二人の幼児を盾に、幾度となく同情票を集めて減刑に繋げようと試みました。魂胆は見え見えですし、弁護士の常套手段ですが、母親になったばかりのホームズに審判を下せないと陪審員をおりた女性もいたことから、二度目の妊娠は自首延期を図る策略だと確信するのは私だけではありません。

セラノス社創業者/スーパー・ユニコーンとして最盛期のホームズ(左)と、5月30日自首した時のホームズ。

 

自己愛性ソシオパス振りの動かぬ証拠は、長女をラテン語で「無敵」「不屈の」「負けざる者」等を意味するインヴィクタと命名したことです。さすが、ディスラプターだけあって、自分だけでは飽き足らず、何の罪もない娘にまで打たれ強くなれ!と反逆児精神を植え付けようという試みでしょうか?禁固刑に追いやった世間に、「ふざけんな!!」と挑戦しているようにも、「騙される方が悪い!」と言いたいけれど言えない欲求不満や怨念を娘の名前に託したとも読み取れます。何しろ、自己愛性ソシオパスは、自分だけが正しい!と信じて止まない、裸の王様を地で行く人種です。今後も、ホームズがどのような「裸の女王様」振りを発揮するか、楽しみ(?)です。

人を騙して、私腹を肥やす業突く張りの人でなしに、天罰が下るのを目撃する快感は格別です。しかし、貧乏くじを引いたのは、セラノスに投資し(させられたとも思える節が無きにしも非ず)ホームズの右腕として恐怖経営で従業員を震え上がらせた元社長兼COOサニー・バルワニです。経営内容=詐欺が暴露されるや否や即刻、無惨に捨てられた挙句の果て、ホームズの裁判ではバルワニに虐待されたと陪審員から同情票を獲得する道具として利用されました。2022年12月7日、12件の詐欺罪で、12年11ヶ月の禁固刑を言い渡されたバルワニは、今年4月21日からカリフォルニア州サンペドロ市にあるターミナル・アイランド連邦刑務所に服役しています。受刑者許容数650人余りのホワイトカラー犯罪者男子寮ですが、生産作業(工場など)が課される矯正施設です。