どのブームも裏には不景気があり、なぜその時期にお笑いが流行るかというと、不景気のときは視聴者がテレビに笑いを求めるというのが一応の根拠となっている。さらに、不景気時はテレビ局自体が経費削減で番組制作にお金をかけることが出来ない。なので、経費を浮かせやすいバラエティ番組やクイズ番組が番組編成の軸となり、そこで必要とされるのが芸人なので、必然的に芸人を目にする機会が増えてブームになるというのも根拠のひとつと言われている。

 何はともあれ、不景気なときこそお笑いに勢いが出るのだ。そんなときに視聴者がお笑い番組に求めるものは、具体的に何なのだろうか。昨今の賞レースブームを鑑みると、一番求められているのはやはり漫才やコントなどの“ネタ”だろう。お笑いとしては一番わかりやすく、面白さを凝縮したものだ。そして番組によっては芸人の真面目な一面も見られるし、時として感動することも出来る。とてもリーズナブルに人間の感情を良い意味で揺さぶってくれるので求められているのだろう。

 そして、僕が思う、今の時代だからこそ求められているもの。それは“芸人の恋愛話”。そこまで供給が多いわけではないが、芸人同士が付き合ったり、男女として好きという話は肯定的に受け止める視聴者が多い。芸人ならではの微笑ましい恋愛が視聴者の幸福感を高めてくれるのだろう。

 そして、昔から視聴者の大半が何となく興味があり、つい見てしまうのは「稼ぎ」についての話だ。そんなことないと思う人もいるかもしれないが、芸能人長者番付や芸能人年収ランキングなどがいまだに存在し、話題になるということは、やはり興味があり、視聴者サイドの需要があるということだ。もちろん「高額納税者公示制度」があったからという意見もあると思うが、制度が廃止された今でも続いているということは、やはり誰がどの程度稼いでいるという話は間違いなく一興なのだ。