◆金髪ギャル×やさぐれ感でも魅力たっぷり!
この役のために地毛を人生初の金髪にし、雰囲気を肌で感じるためにお酒を飲みながら台本を読んだというエピソードからも、小芝の本気度が伺えます。凄い勢いで長尺の台詞を展開するマシンガントークも、圧巻の活舌(かつぜつ)で聴き取りやすく疲れさせません。
実力派女優の本領を発揮している小芝ですが、何より素晴らしいのが、一歩間違えれば“下品で嫌な女”に見えかねないキャラクターを、愛されキャラへと昇華している点。ただまくし立て続けるだけではなく、台詞回しや表情で喜怒哀楽の緩急を繊細に演じ分けているからでしょう。特に、9日に放送された最終回では圧巻の演技を見せました。
地震で街全体が停電してしまったなか、ミナレは終わりが見えない生放送に挑みます。深夜の地震で不安に包まれたラジオの前の人に向けて、リスナーから寄せられたお役立ち情報からふざけた雑文まで、ミナレ節たっぷりのトークを展開していきます。最後は、自分の声がリスナーに届いていることを実感し、感極まるミナレ。その姿にはグっときました。
小芝でなければやり切れなかった、彼女の代表作になったといっても過言ではありません。次のクールでは『転職の魔王様』(カンテレ・フジテレビ系)でヒロインを演じるということで、また違う一面を見せてくれることでしょう。
<文/鈴木まこと(tricle.llc)>
【鈴木まこと】
tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201