「私がたとえば(相方の)村上にムカついて『なんやねんお前それ!』って言ってるの見せるだけで『私はこれにムカつくやつなんや』っていうのを発信してるわけよ。でも、そういうことを吉住は意図的に全部発信に変えないとアカンから。吉住という人を、人に渡す作業が2倍なんよな」

 自分がどういう人間なのか。それを見る者に伝えるには、コンビであれば相方とのやり取りを見せれば済む。相手への反応が、自己紹介になる。他人が自分の鏡になる。相方が自分のエピソードを話してくれたりもする。対して、ピン芸人は人となりをほぼすべて自分から発信しないといけない。だから、吉住は言う。

「私はずっとコンビってズルいなって思って見てる」

 一方、5月30日と6月6日の2週にわたり、『アンタウォッチマン』(テレビ朝日系)でバカリズムが特集されていた。テレビのバラエティ番組や単独ライブはもちろん、大喜利やドラマなど、バカリズムの活躍は多岐にわたる。幼少期からの来歴からネタや脚本の作り方まで、彼は自身の言葉で語っていた(周辺の関係者の証言もあったけれど)。

 たとえば、ドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)でもそうだったが、自身の脚本に会話劇が多い理由を次のように語る。