◆「埋め合わせ」ではうまくいかない。人は自分に嘘がつけない
家を出た楓が「しばらくホテルに泊まる」と連絡しても、誠からは返信がない。誠としてはどう向き合っていいかわからなかったのだが、楓は誠の心が自分にないことを確認するしかなかった。
一方、陽一は店長を務める珈琲店に飾られていたジグソーパズルのピースがひとつ、なくなっているのに気づいて自ら作ったものをはめてみる。だが色が違って、ピースははまっているのに浮いてみえる。
「適当に埋め合わせてもこうなるだけ」
オーナーのその言葉に、陽一は気持ちをかき乱される。浮気がばれたオーナーは、前回バレたときは家を買って妻に許してもらったと語り、陽一はみちにマンション購入を相談、内覧することになった。だが陽一が予約したのは1LDK。子どものことは頭にはないのだ。それを指摘すると、陽一は率先して2LDKを内覧した。「子どもを作ってもいいよ」とも言った。だが、その言葉はさらにみちを傷つけるだけだった。
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