『ザ・ノンフィクション』「いなくなったら探してくれる」は会社勤めのメリット

 西は1年半、自分を探そうとする人が現れなかったこと対し、過去の自分は、周囲とそういう関係しかなかったのだろう、と寂しげに振り返っていた。しかし大人の場合、同居家族がいない、もしくは仕事に就いていないケースの場合、1年半音信不通になる、というのはあり得る話のように思えた。

 友人、知人レベルなら、1年半連絡がつかなくても、忙しかったり、何か事情があるのだろうと思ってしまいそうだし、捜索願などを出して大ごとにし、その後何もなかったらと、ためらってしまいそうだ。

 また、同居していない家族よりも「自分が働く会社」のほうが、すぐに自分の不在や不慮の出来事に気づいてくれるだろう。実際、出勤してこない同僚の自宅を訪ねたら事件に巻き込まれていた、あるいは重篤な状態だったということが発覚するケースはある。「定職についていることのメリット」は数多くあるが、「いなくなったらすぐ探してくれる」というポイントは盲点だったと、今回の『ザ・ノンフィクション』で気づかされた。