そういったキャスティングに恵まれたことによって、ざっくりとした人間ドラマ部分が重圧になっているように錯覚させてはいるが、うまくいってない部分もいくつかある。

 監督のマイケル・B・ジョーダンいわく、今作のテーマは「許し」とのことだ。それは確かに理解できる。

 アドニスとデイムは同じ環境で育ちながらも、運やタイミングによってまったく別の人生を送っている。どちらが逆の立場になってもおかしくない対照的な2人ということから、全体的なテーマとしては、もうひとりの自分やサブタイトルにもなっている過去との対決だ。ただ、そこに「許し」が加わってくることで濃厚な人間ドラマが展開されるのではなく、回収しきれず中途半端なものになっているのが、今作を観た後に残るモヤモヤ感だろう。

 いろいろと粗削りな部分はあるものの、マイケル・B・ジョーダンの監督業も決して悪くはない。スタローンも「ロッキー」シリーズのいくつかを自ら監督しているが、決して成功といえるものばかりではなかった。

「クリード」シリーズがその部分まで受け継いでしまわないように、次回作があるとすれば、別の監督に頼むべきだろうと思う。

 それよりも、日本の漫画やアニメが好きというのであれば、漫画原作の映画を撮ってもらうのが一番いいのかもしれない……。

 

『クリード 過去の逆襲』 
5月26日(金)全国ロードショー

■監督:マイケル・B・ジョーダン
■出演︓マイケル・B・ジョーダン、テッサ・トンプソン、ジョナサン・メジャース、
ウッド・ハリス、フロリアン・ムンテアヌ、ミラ・ケント、フィリシア・ラシャド 他
■製作・原案:ライアン・クーグラー
■配給:ワーナー・ブラザース映画
■公式サイト:creedmovie.jp

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