主人公の宿敵デイムが何を考えているのか、全然わからない!!
ストーリー展開には多少難があるものの、今作で一番目を惹くのが、ジョナサン・メジャース演じるデイムというキャラクターの中にある闇だ。というか、メジャースがいなかったら今作はもはや成り立っていないようにも感じられる。
有名になったら突然連絡してくる、遠い親戚のように登場するデイムだが、アドニスを見るその眼差しからは、怒りなのか、悲しみなのか、それとも嫉妬なのか……。といったように、今回メジャースはとにかく何を考えているのかわからない演技をしているのだ。その表情の裏にある真意がいまいち掴みづらく、常に緊張感が漂っている。
デイムは、いつ爆発するかわからない爆弾のようであり、主人公のアドニスもそれを感じていて、どう話して、どう接するべきなのかがわからないでいるといった表情を浮かべている……ので、リングの外でも中でもボクシングがエンドレスで続いているようだ。
メジャースが演じる得体のしれない恐ろしさという点では、ドラマシリーズの『ロキ』や『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(23)で演じたヴィラン、カーンとも通じる部分がある。今回のキャスティングの理由も、実はそこにあるのかもしれない。
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