またマイケルは、今作のプロモーションで来日した際にも東京を舞台にしたボクシング漫画『はじめの一歩』の聖地巡礼を行ったほど、日本の漫画やアニメを愛しているのだ。今作中にも『ガンダム』や『NARUTO』のポスターが映り込んでいるほか、試合の演出としても『はじめの一歩』や『NARUTO』が参考にされているなど、その愛が散りばめられている。ただ、『クリード』を観に行ったファンがそれを観たいのかというと、それはまた別の話のようにも感じられてしまうが。

 良くも悪くもそういった自由が利くのも、マイケルが自ら監督を務めたことによる特権であるといえる。一方で、今作のストーリーの“現役チャンピオンが無名の男と対戦する”という流れ自体が『ロッキー』の1作目と同じことを繰り返しているに過ぎず、すでにマンネリ感が漂ってしまっているのは難点だ。

 ロッキー・サーガとしての立ち位置から「クリード」シリーズが独立したことにより、今作にはロッキーが登場しない。つまり、ロッキーからの卒業を意味しているのだが、ストーリーがロッキーに寄り添ってしまっていては意味がないようにも思える……。

【ストーリー】
家族同然だった幼馴染が宿敵へ!ある日、クリードの前にムショ上がりの幼馴染デイムが現れる。実は、クリードには家族同然の幼馴染を宿敵に変える誰にも言えない過ちがあったのだ。〈栄光を掴んだ最強チャンプ〉VS 〈全てを失ったムショ上がりの幼馴染〉──血と涙の殴り合いが始まる──。