NHKは『クローズアップ現代』で取り上げましたが、大半は性加害問題の話で、なぜこれまで報じられてこなかったのかという背景についての言及は少なかった。フジの港社長がジャニーズ事務所への“忖度”問題について問われ、『忖度というようなことを考えてやっているというつもりはありません』と、“完全否定”とはいえないような発言をしていましたが、実際、テレ朝の『ミュージックステーション』など、あからさまに忖度が働いている番組は少なくない。2020年にDISH//の『猫』が大ヒットとなったとき、DISH//はようやく『Mステ』に出られることになったものの、テレビ朝日の上層部がわざわざそのことをジャニーズ事務所に“報告”したという話もあります。ジャニーズが出資・製作している番組ではないにもかかわらず、です。

 1999年の『週刊文春』(文藝春秋社)の一連のキャンペーンをめぐる名誉棄損裁判で2003年、『セクハラ被害』(性加害)などについて真実相当性が認められた東京高裁の判決が確定してから数えても20年近くにわたって大手メディアは沈黙してきたわけで、このジャニーズ帝国の支配力、すなわちジャニーズと各局の共存関係こそ、今回の件の最大の問題。だが、どの局も、あくまでジャニー氏一個人の犯罪として『性加害は許されない』と語り、事務所の対応を見守るというコメントに留まっている。これでは大した変化は起こらないでしょう」(同)

 夏は7月を中心に各局の音楽特番が放送され、『THE MUSIC DAY』(日本テレビ系)『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)『音楽の日』(TBS系)『テレ東音楽祭』(テレビ東京系)『ライブ・エール』(NHK)などがあるが、こぞってジャニーズグループを複数組出演させるのが常。昨年の『音楽の日』はジャニーズ10組の出演も話題になったが、こうした光景も変わることはないのだろうか。