もっとも、若槻レベルのベテランなら、自分が話すことが放送で使えるかどうかは理解しています。それでも実名をブチまければ現場は盛り上がりますし、“ぶっちゃけキャラ”として評価されます。さらには『せっかくしゃべったのに放送では消された』と新たなトークのネタもできて、良いことずくめ。そこは彼女なりの計算があってのことでしょう」(民放バラエティ番組制作関係者)

 視聴者を楽しませるためには、まず出演者が楽しむことが大事──『上田と女』を見ると、制作側のそんな思想が透けて見える。だが、昨今のテレビについてよく言われるのが、「番組に出てる芸能人が楽しんでるだけ」「我々はそれを見させられるだけ」という批判だ。

 ピー音はその筆頭だが、いつ批判の的になってもおかしくない“要注意番組”は多い。キー局関係者が挙げるのは、お笑い界の頂点に君臨するダウンタウン松本人志の番組だ。

「『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ系)は、『人志松本のすべらない話』のフォーマットを利用したものですが、『すべらない話』は出演者がしゃべりのプロである芸人で、彼らが厳選したエピソードを話すのに対し、『ツマミになる話』は出演者が一般芸能人で、しかも酒が入るので、しゃべりの面だけで言えば明らかにクオリティが低い。企画はおもしろいですが、言ってしまえば、芸能人の飲み会をテレビで流しているだけ。この番組は『ダウンタウンなう』の1コーナーを正式に番組にしたものですが、『ダウンタウンなう』の視聴率が振るわないので、窮余の策でレギュラー化したもの。深夜ならまだしも、プライムタイムで毎週やる番組ではないのでは」(キー局関係者)