増本は貴山の顔を見て、貴山勇作の息子だと勘づいた。そして秘書(入江甚儀)に命じて勇作を「始末」しようとする。丹波のおかげで勇作の身が危ないと気づいた涼子と貴山は間一髪、勇作を助ける。保身のために人を殺すことをいとわない増本らへの怒りに燃える涼子は、美食をエサに増本と八雲を騙し、毒キノコを食べさせられたと勘違いした彼らは互いに罪をなすりつけ合うなかで全てを白状する。慈善家の顔をして裏では豪遊し、不正に気づいた勇作の家に火を放って放火の罪を勇作に押し付け、野崎は駅のホームから突き落とし、捜査をしようとしていた警察には圧力をかけてストップさせる……これまでにない“クズ”っぷりを見せていた増本と八雲は、かくして逮捕されることになった。
本ドラマではターゲットから秘密を吐かせるために、潰れるまで酒を飲ませるのは常套手段となっているが、今回は料亭のお座敷屋敷で発揮。野球拳で負けたほうが酒を飲むという勝負で、涼子は八雲に完勝したが、それを可能にしたのは貴山の頭脳だった。貴山は涼子の髪飾りにつけた小型カメラで、腕の動きから八雲がどの手を出すのか見破っていた。今回は秘密を掴むまでには至らなかったが、IQ140超えという貴山の離れ業は相変わらず涼子の強力な武器だ。そして今回、勇作の件を共に解決したことで涼子と貴山の絆はさらに深まったようだ。
もっとも、貴山の“謎”はすべて明らかにされたとは言い難い。18歳のときにアメリカに渡り、大学で行動心理学・認知心理学などを学び、大学院で物理学・機械工学などを研究。冒頭のシーンでは貴山の開発した認証システムが評価される場面もあった。貴山の頭脳明晰ぶりがわかるバックグラウンドが明かされたが、6年前に家族を失ってからは何をしていたのか。そして裏社会の住人である有田浩次(中川大輔)と「古い友人」であったりと、何かしらダーティな匂いを感じさせる貴山だが、そのあたりの事情もまだ謎のままだ。第6話のエンディングではまだなにか秘め事がありそうな、意味深な表情をしていた貴山。助手に留めておくにはもったいないほどのハイスペックぶりなだけに、二重底では終わらなそうな謎を持つ貴山が今後さらに存在感を見せることを期待したい。