怪しい動きを見せる山本と直哉の恋の自覚、2つの新展開
一気にストーリーが動き始めた印象のある第5話。6号車のリーダー・山本は一筋縄ではいかない裏の顔がありそうだ。5号車から離れた田中弥一(杉本哲太)がスパイのように5号車の情報提供をする際の話を聞く姿からは、“黒幕”の威厳すら感じた。直哉たちが光る石を発見し、2023年に帰る手掛かりになるかもしれないと話していたという情報を聞き、直哉たちに気づかれないよう植村たちに石を探させていたことから考えても、本当に5号車と協力体制を築くつもりはなさそうだ。
そもそも、山本の話もどこか怪しい。山本は無線を動かしてみたら「一時的に」カナダの山中につながったという。以前、夜空にオーロラが浮かんでいたことを考えれば、地形が大きく変動し、日本とカナダの距離が接近した可能性はありそうだ。だが、「途切れ途切れ」の通信だったという割には、ずいぶん事細かく“2060年の事情”を聞いている。当時民間によって競うように宇宙開発が行われた結果、ある大型の小惑星探査機がスペースデブリとぶつかって小惑星と衝突、直径およそ500mの隕石となって太平洋に落下。沿岸都市に大洪水を起こし、各地で群発地震を起こし、さらに隕石衝突によって舞いあがった粉塵が成層圏にまで達して空を覆い、作物が取れなくなった……という。山本は、自分たちが未来に来たのは運命だとし、「人災」によって起こったこの未来を2023年に知らしめるために帰らなくてはならないと熱弁していたが、はたしてそもそも山本が話したことは事実なのだろうか。
山本ら6号車への疑念が膨らむ一方、第5話は恋愛要素も一気に花開き始めた。紗枝が優斗に想いを寄せていた描写はこれまでもあったが、優斗の想い人は、いきつけだったお好み焼き屋の店員・樋口真緒(志田彩良)であることを知ると落ち込む紗枝。しかし直哉は「その相手、過去の人なんだろ? 正真正銘、過去なんだよ。今そばにいるのはあなたなんだから、時空超えて落ち込むんじゃないよ」と励ます。そんな様子を見た佳代子は、直哉は恋をしていると指摘。「こんな状況で? ただただ生きてるだけで必死なのに」と笑い飛ばす直哉だが、佳代子は「ただただ生きてる中に、そういう感情って含まれるんじゃないの? むしろそれが、生きてるってことなんじゃない?」と語り掛ける。その言葉は、きっと直哉に届いたに違いない。裏切られることが怖くてこれまで人に期待できなかった直哉は、紗枝への気持ちに対してもブレーキをかけていたのだろう。ラストシーンで玲奈から話を聞いた直哉は、紗枝の身の危険を案じて真っ先に車両を飛び出した姿には、迷いは感じられなかった。