実際にアメリカでは許諾なく絵をマネされたとするアーティストたちが集団訴訟を起こしている例もあり、番組では、訴訟を起こしたひとりであるアーティストのカーラ・オルティスさんに取材。「同意、クレジット表記、補償も何もない」「何十年もかけた努力、長年のトレーニング、そのすべてが搾取され、悪用されたのです」と訴える場面などが放送された。

 ところが、この放送に対してオルティスさんが怒りをあらわに。最大の問題となっているのが特集冒頭の街頭インタビューで、女神のような女性が描かれたオルティスさんの絵と、その絵をAIに模倣させて生成した画像を並べ、街行く人に「人間とAI、どちらの絵が好きか?」と尋ねるという内容だった。街の人たちの声として「好みなのはAI。リアルなのは人間が描いたほうだけど、AIのほうが“映える”」「若者向けは(AIのほう)だよね」「俺もAIのほうが好き」といった意見が紹介され、AIが生成した画像のクオリティの高さが強調された。

 これについて、オルティスさんは23日付の自身のTwitterで『news zero』のツイートを引用しながら抗議文を発表。「日本テレビの『news zero』は私の同意なく、私に知らせることもなく、私の絵とAIが生成した画像のどちらがよいかを聞く街頭インタビューを行いました。しかしこのインタビューでは、AIがあの画像を生成できたのは私の画風を盗んだからだという文脈を人々に説明していません。私はこのような形で私の作品が悪用されることに同意していないのです」「これまで世界中のニュースメディアから取材を受けましたが、これほど傷つけられ、搾取的だったことはどのニュース番組でもありませんでした」と、番組側の編集の仕方や街頭インタビュー企画に強い怒りを示した。

 オルティスさんは取材クルーに対しては「とても親切で素晴らしかった」と絶賛しており、同じ取材クルーによる別の日本テレビ系ニュースで流れたインタビュー映像については「適切な内容になっている」とも説明。そのうえで改めて「しかし、『news zero』は残念です。二度とアーティストをこのように扱うことがなくなりますように!」と訴えた。