目指すのは自由な人生を叶える“お金の元持ち”

――パックンにとって投資や貯蓄は人生の中でどういった位置づけにありますか。

「投資をすることは、お金に踊らされる状態から解放されるための切符です。経済的自由という言い方をよくします。たとえば、若いうちにFIRE(Financial Independence, Retire Early)するという生き方もあるよね。仕事から引退して、資産運用から得た不労所得で暮らす。僕も、しようと思えばできなくないけど、そのためには節約も徹底しないといけないし、非常に地味な生活をしなければいけなくなる。それより、安心しながら好きな仕事ができる経済的な基盤を得ることが、経済的自由への切符だと思うんですよね」

「投資で目指す目的地は、僕の場合、お金持ちになることではなく、“お金の元”持ちになることと考えているんです。つまり、お金を生む“元”を持つこと。貯金の残高が増えていくのを見るのもうれしいけど、それより、自分が投資している不動産や株式、債券が1年間で生んだ利益を見るほうに喜びを感じます」

「実は、投資については、僕が芸能活動に打ち込んでいる間、ほったらかしのものが多いんです。それで、年に1回確認するんです。『ほったらかしだったのに、投資金はきちんと働いてくれてたんだね』って。勝手に稼いでくれるんですよ。“お金の元”がね! その働きを見て安心を得るんです。そうすることで、芸能活動みたいな少しリスキーな仕事にも挑戦できるんです」

人生は冒険! だけど投資は冒険じゃない

――先ごろ出版された本の中で「積立投資」「債権」「不動産」の3つの投資商品に投資していると書かれてますが、その理由を教えてください。

「堅実であることが一番大きいかな。僕、実は、ビビリなんですよ。投資家といえば、リスクが高いけど、儲けも大きい投資を誰よりも早く見つけて、大金をかけてボロ儲けをするというイメージがあるじゃないですか。一歩踏み間違えると、崖っぷちから落ちるような危ないことをしている人。僕はそういう投資は嫌いなんです。人生は冒険だけど、投資ではあまり冒険をしたくありません」

「投資商品については、地価が上がりそうなエリアで稼働率が高い不動産物件を持つとか、電力やガスといったサービスを提供する公益企業の債権や国債を持つとか、株式ファンドやETF(上場投資信託)など長期的に安定するかもしれない商品に目を付けています。それらは、マーケット全体の原理がそう変化せずに、長期的に上がっていくと予想できる価値のあるものなんです。しかも、ほったらかしにしていても安心できるものでもあります」

「お金の育て方は、ある意味ほったらかしでいいんです。お金ばかり面倒をみていられないじゃないですか、もっと好きなことに力を注ぎたいと思いませんか? 積立投資なら、自動的に投資をしてくれます。税制の優遇もあるしね。健康保険料も天引きで気づかないうちに払っているでしょ。それと一緒で、いつのまにか天引きされたほうが、毎日のモチベーションに左右されることもなく、細かな作業の手間暇を考えずに自動的に投資できるから楽ですよね」