小児科看護師のやりがい3選
小児科の看護師は臨機応変な対応が求められますし、雑務を含めた業務量は多いと思います。しかし、とてもやりがいを感じます。ここからは、小児科看護師のやりがいを感じるポイントを3つご紹介します。
(1)子どもが元気になり退院するとき
やはり、子どもが元気になって退院する瞬間は、私達看護師の肩の力がスッと抜ける一番の瞬間です。退院後の自宅での生活で気を付けて欲しいことを保護者に伝え、安心して退院してもらえるように関わります。
(2)看護展開が早いため自分の看護がダイレクトに反映する
看護展開が早いのは小児看護ならではだと思います。
喘息や肺炎などの呼吸器疾患で入院している子は、一回の体位交換や吸引でも状態が大きく変わる場合があります。自分の関わり1つで状態を良くできるので、より丁寧に観察、ケアを行うようにしていました。
(3)子どもや家族と信頼関係を築けたとき
入院している家族の多くは、入院・治療という現実にナーバスになっているケースが多くあります。
大切な我が子が家族と離れて治療を受けなければならない現実を受け入れるのに時間がかかり、ピリついた空気が病室を漂うケースも少なくありません。
しかし、家族も看護師も目的は「子どもが元気になって退院をする」ということ。看護師が子どもを大切に思う気持ちは、家族に必ず伝わります。
コミュニケーションを大切にし、積極的に声をかけ続けると信頼関係の構築に繋がり、家族や子どもの笑顔を引き出せます。
子どもや家族と信頼関係が築け、元気に退院する姿を見られる瞬間ほど小児科の看護師をしていて良かったと思っていました。
小児看護師の大変ポイント4つ
楽しい小児科看護師の仕事ですが、やはり看護師という仕事なので大変な仕事もあります。ここからは、小児科看護師の大変ポイントを4つご紹介します。
(1)急変や入院が多い
小児科は元気になる経過が早いのですが、症状悪化のスピードも早いです。そのため、入院している子の急変や緊急入院も多いのです。
タイミングが重なると急変や緊急入院がバタバタと相次ぐので、その場面に立ち会うと勤務時間は一瞬で過ぎ去っていきます。
(2)家族によっては信頼関係を得るまで関わりが難しい
基本的には穏やかな家族が多いですが、やはり人との関わりなので中には関わりづらさを感じる家族もいます。
しかし、実は子どもが急に入院をして不安でいっぱいだった、自分が焦って上手く関われなかったというケースも多いので、ファーストコンタクトだけで判断しないようにしましょう。
(3)夜泣き対応
小児科で入院している子どもの中には、保護者が夜間付き添いをしない家庭もいます。その場合、子どもは一人でベッドに寝ることになります。
中には不安からなかなか寝付けず、夜泣きを繰り返す子も。夜泣き対応も看護師の仕事なのでベビーカーや抱っこ紐などで対応します。
他の受け持ちの子どもを見ながらの夜勤対応は、少しハードさを感じる人はいるかもしれません。
(4)成人の看護スキルは身につかない
小児看護と成人看護では、患者さんとの関わり方が大きく異なります。例えば、成人と小児では使用する薬剤の種類も量も全く異なります。
また、採血や点滴などの看護師が行う技術も小児になると血管が細く難しいため全て医師が対応します。
また、成人相手の体位交換や移乗も看護師が2~3人が必要になる場面ですが、小児だと一人の力で間に合うので、学校で学んだボディメカニクスを使用しなくても看護が可能です。
小児科の看護師になると成人看護をやりたいと思った際に「自分は使えない看護師かも…」と不安になりがちですが、心配する必要はありません。
成人看護を行う上で最初は戸惑うことが多いと思いますが、小児科看護で培った観察力と臨機応変な行動力は成人に行っても大きな力となるので心配しなくて大丈夫です。
元小児科看護師が忘れられない看護場面3選
ここからは、小児科看護をしていて今でも心に残っている看護場面を3つご紹介します。
(1)暴言ばかりの5歳の男の子
私が看護師3年目のときに、交通事故で大腿骨を骨折し長期入院をしていたA君という5歳の男の子がいました。事故のストレスなのか常に気性が荒く、病棟でも問題視されていました。
私が受け持ちの際も、トイレの移乗で「痛ぇよ!嫌だ!動きたくない!やめろ!」とことあるごとに怒鳴られていました。彼が常に怒っているのは本当に痛みがあるからなのか?と考え、師長を交えてA君とA君のママと4人で話し合いました。
すると、A君から
A君「ママにもっと優しくしてもらいたい。赤ちゃんになりたい」
という言葉が。この発言にA君のママはビックリしていました。
結果、A君は自分の気持ちを表出でき、少しづつ病棟で落ち着きを取り戻していきました。
私とも信頼関係を築き、シャワー浴は私が介助するなら承諾してくれるように。その後無事に退院されました。
子どもだから仕方ないねと終わらすのではなく、その行動の原因を探る大切さをA君から学び今でも大切にしています。
(2)呼吸器管理が必要になった生後6か月の赤ちゃん
大人ではただの風邪程度の症状で済むRSウイルス。気道の狭い子どもは重症化しやすい疾患として、RSウイルスで入院する子どもは多いです。
RSウイルスで入院してきた生後6か月のBちゃんは最初は大事をとって入院になりました。
ニコニコとした笑顔が可愛くて、ケアをするのがとても楽しかったです。
そんなBちゃんは、とある日の日勤帯に急変してしまいました。鼻水が増え、気道を圧迫し呼吸が上手くできず、SPO2の値がどんどん低下してしまい呼吸器管理となりました。
私はその日の夜勤だったので、病棟にきて驚きを隠せなかったことを、今でも鮮明の覚えています。
小児科は回復のスピードは早いですが、病状が悪くなると一気に悪化します。
結果、私の病院よりももっと大きな病院でケアを受けた方が良いという流れになり、県内の大きな病院へ転院しました。
どうかBちゃんが元気になりますように。と祈った2日後。Bちゃんが私の勤めている病院に帰ってきたのです!
呼吸器は外れてすっかり良くなり、再びニコニコの笑顔を見れました。
その後Bちゃんは病状は安定し、無事に退院されました。
子どもの回復力の速さに驚いたのはもちろん、些細な変化も見逃してはいけないと改めてBちゃんから学びました。
(3)長年入退院を繰り返していた20歳の女の子のお看取り
私の勤めている病院ならではかもしれませんが、重症心身障がい児のお子さんは年齢が小児科の適応で無くなっても引き続き小児科で対応していました。
重症心身障がい児(重身と称します)のお子さんは免疫力が低く、繰り返し入退院を繰り返します。20歳のCさんも私が新卒の頃から入退院を繰り返していました。
とある夕方、後輩と「そろそろ定時だね」なんて雑談をしていたところ、Cさんが入院すると医師から連絡がありました。
今回もいつものような入院かな?と思い、よくCさんが使用している病室で入院準備を進めていたところ、また医師から連絡が。
医師「お看取りになるからナースステーションから一番近い病室を空けて」
と衝撃的な内容でした。病棟にいた看護師は状況が理解できず、言われるがままに準備をしました。
病棟に上がってきたCさんとCさんのお母さんは落ち着いていましたが、Cさんは普段より血色が悪く少し辛そうでした。
今までも体調が悪く入院してきたのに、なぜ今日お看取りなのか?と状況を飲み込むまでに時間がかかりましたが、CさんとCさんのお母さんが少しでも最後の時間を穏やかに過ごせるよう2人の空間を作り見守りました。
小児科でお看取りをする回数はとても少ないです。だからこそ、1回のお看取りのダメージが多く看護師の記憶に強く残ります。
最後まで家族の形を考え、家族が納得できる時間を提供しようと強く思いました。
小児科の看護師をしていると辛い場面もありますが、自分の看護次第で子どもや家族を幸せにできる素晴らしい仕事だと思っています。