相方強奪の本当のリスク

 コンビを解散し、ピン芸人・イタリア人となった山里は、すべてが上手くいかない。ネタで日本人形の手を舐めては客に引かれ、しまいには照明さんにまで怒られてしまう。お先真っ暗な状態だ。

 ただここで、さすが山ちゃんと感じるのは、ピンでもしっかりと舞台に立ったことだ。「舞台の出番があるから出ないと」と言っていたが、たいていの芸人はコンビ解散後、いったん相方探しとして休養期間に入る。ウケる算段もないのにキャラ芸人に挑戦している姿は、売れっ子になるべくしてなったのだと感じる。

 イタリア人として活動しながら西中サーキット解散直後のしずちゃんに狙いを定めた山里、しかし、しずちゃんは別の男とコンビを結成してしまう。「人の相方を奪うのは御法度」と諦める山里だが、公園で出会った食品メーカーに勤める女・花鈴(渋谷凪咲)に背中を押され、しずちゃんを強奪することを心に決める。

 そこからの山里は、しずちゃんの周りをコソコソと嗅ぎ周り情報を収集。なんとか連絡先をゲットして話す機会を設けると、情報を使って気が合うフリをし、なんとか気に入られようと試みる。

 しかし、結局のところしずちゃんの胸を打ったのは、正直な思いとしずちゃんのために書き溜めたネタ帳だった。

「なりふり構わずに売れようと頑張る山里」という印象が強まったエピソードだ。