また、寺崎佳代子(松雪泰子)は家族と会えない状況に絶望し、ひとり孤立し始め、生きる気力を失いかけていた。ここで生き残るために頑張る理由がないと嘆く佳代子に、立花弘子(大西礼芳)や加藤らが元の世界での情けない話を自ら披露して佳代子を笑わせ、励ます。そして心臓を患い、去年大手術から生還したばかりという丸山喜代(外海多伽子)が「でも目を覚めたら、動いてた。頑張る理由、それだけよ。心臓が動いてるから」と優しく語り掛ける。佳代子は食事に食らいつき、生き残ることを決意する。

 直哉と優斗の関係にも変化が生まれつつあった。真逆の2人は、「バディ」となりそうでなかなかならず、見ている側としてももどかしかったが、全員を助けるというヒーロー的な優斗に対し、直哉はずっと手厳しかったが、少しずつ優斗に心の内を明かしていく。

 直哉から弟の話を聞いた優斗は、「大事なものなんだろ?」と足に怪我を負いながらも、田中が森の中に置いてきた直哉のシザーケースを見つけ出してきた。優斗は大事に使い込まれたハサミを見て、「弟さんのために働いて、そうやって暮らしてきたんだなって」と探してきた理由を語るが、しかし直哉は素直に感謝できず、「人のことを全部わかったみたいに言うな」「言ってて気持ちいいか? いい人アピールのために人のこと利用すんじゃねえ」と反発する。だが、意外にも「そうなのかもしれないな」と認めた優斗は、「誰だって、どんな人でも必ずいいところはあって、みんなで協力して何とかこの状況を乗り越えて、いつか前いた場所に戻れる。そう思わないと、ふんばれない。俺は弱いから」と自分の弱さをさらけ出し、「事情もよく知らないで、勝手なこと言ってごめん」と謝罪する。その優斗のまっすぐな思いに直哉は、父親代わりとして大事に育ててきた弟がグレてしまったことに対するやりきれない想いをぶちまけ始め、優斗から「自分を責めるな」「やるだけやってきて、立派だよ」と語り掛けられると、直哉は「ほんとお前好きじゃないわ」と言いながら、ついに優斗の前で涙を流すのだった。