社長の座を継いで間もない息子・仁志(笠原秀幸)は何かあるとすぐに会長である母親に相談していたが、自立してほしいと叱ったところ、予知能力者を自称する怪しい男・高円寺裕也(高橋克実)を頼るようになってしまったという。仁志はすっかり高円寺の能力を信じ切り、コンサルティング契約すら結ぼうとしていた。朝子はそれに反対しており、高円寺の化けの皮を剥いでほしいと望んでいるのだ。
これだけでも明らかに怪しい話だが、警察官の丹波勝利(丸山智己)からの情報で、高円寺はやはり詐欺師であると確信。半年ほど前から同様の手口で経営者らに近づき、契約コンサルタントとして契約し、金を手にした途端、姿を消すということを繰り返していた。和装姿の予知能力者という、明らかに胡散臭い高円寺を演じたのは高橋克実。誰もが詐欺師では?と思ってしまう役柄だけに、一歩間違えれば作品を白けさせかねないが、人当たりの良さを見せながら、作り笑顔で怪しさがちらつくあたりの絶妙な胡散臭さ加減と、それでいて涼子や貴山もすぐに見破れない“トリック”で堂々と予知能力者然として振る舞う姿は、長年バイプレーヤーとして活躍してきたベテラン俳優の味が効いていた。
高円寺は、クラブで次に店に入る客のプロフィールをずばり当てたり、生放送のボートレースの結果を予想してみせ、涼子たちは苦戦。仁志はますます高円寺に心酔し、経営コンサルトではなく顧問として会社に迎え入れようとする。しかもその条件は、高円寺を疑っている朝子を会長の座から降ろすこと。倍の報酬を提示された涼子は、久実が飾ったマメザクラをきっかけに高円寺のトリックに気づく。高円寺の予知能力は、仁志の秘書・新井大輔(安井順平)の協力のもとに成り立っていただけだった。涼子たちは、新井の協力を得られない方法で高円寺を引っ掛け、追い詰められた高円寺は仁志の眼の前で顧問料5000万円の小切手を持って逃走しようとし、逮捕される。ようやく自分が騙されていたことに気づいた仁志は、新井が共犯者だったことに怒る。先代社長から秘書を務めてきた新井は、社長の器ではない「ただのボンボン」に対する不満を飲み屋で愚痴っていたときに高円寺に声をかけられ、分け前を半分もらうという条件で協力していたのだ。
タイトルどおり“合理的”に予知能力の嘘を見破り、1000万円もの成功報酬を手にした涼子。1話完結らしい終わり方になると思いきや、エンディングでは貴山の見えざる部分にスポットライトが当たった。IQ140、恋愛経験ゼロ、そして裏社会の住人である有田浩次(中川大輔)とは古い友人という、謎めいた貴山。父らしき人物が意識不明で寝ている病室を訪れた貴山は、涼子に「今どこ?」と訊かれても居場所を誤魔化していた。そしてそのことにすでに気がついている涼子。貴山の過去に何があったのか。今後のストーリーにどう関わってくるのか気になるところだ。