第2話は、極限状態を生き抜くために、まず何よりも重要な水の確保をめぐる物語に。大量の飲み物が入ったカートの行方、そして森のどこかにあるであろう水源を探しながら、一方で喉が乾き精神的に追い詰められる乗客たちの衝突が描かれ、それぞれの人間性や事情も明らかになってきた。

 第1話でカートを発見していた萱島直哉(山田裕貴)だが、直哉が発見した場所に戻ると、すでに飲み物は無くなっていた。乗客たちの中で疑心暗鬼が広がるなか、盗んだのは田中弥一(杉本哲太)だと判明。家庭で抑圧されていた田中は、見知らぬ世界にワープしたことで“自由”を手に入れたと考え、徐々に“解放”されていっていたが、第2話では周囲の迷惑も気にせず「およげ!たいやきくん」を朗々と歌いながら痛む歯を抜くための糸を紡いだり、飲み物を自分が隠し持っていることで他の乗客たちに高圧的な態度を取ったりと暴走が止まらなかった。

 しかし美容師の直哉はハサミを手に田中に襲いかかり、あっという間に立場が逆転。「一線を越えるやつはこういう目に遭う」と見せしめのために暴行しようとするが、「みんなを助ける」という信念の白浜優斗(赤楚衛二)が遮る。話し合いでの解決を訴える優斗に従い、直哉は田中を追い出すかどうか多数決で決めようと提案。優斗は田中にもう二度としないと謝罪させることで、田中を許す流れに持っていく。乗客の意見は割れるが、優斗を慕う畑野紗枝(上白石萌歌)もまた「二度としないと約束してください」と田中に求め、今までどおり田中を車両に置いておくことで決定した。田中の行動は、追い詰められた人間の愚かさや弱さをわかりやすく表現したシーンだったといえるだろう。

 「信頼し合わなきゃ助からない」という優斗と「疑わなけりゃ助からない」という直哉の対立は続くが、森の中で水源を見つけたことで、張り詰めていた糸は少し緩む。これで命がつながりそうだと安堵したものの、しかし、崖の上で優斗が見たのは、何の建物も見当たらない荒涼と広がる大地と、はるか遠く、海に浮かぶ富士山の姿だった。優斗が録画した“見知らぬ日本”の光景に、車内は絶望に包まれる。混乱した寺崎佳代子(松雪泰子)は夫と娘に会いたいと外へ飛び出し、自分が生き残るためには手段を選ばない渡部玲奈(古川琴音)も「あんたたち、みんな嫌いだった!」と叫びながら泣き出す。それぞれの持っているスマートフォンのバッテリーは切れていく。誰もが諦めの境地に差し掛かりながら車内で就寝する夜、森で用を足していた田中の頭に、ペットボトルのフタが落ちてくる。空を見上げると、そこにはオーロラが広がっていた。さらに田中の背後に怪しい人影が現れたところで第2話は幕を閉じた。