(2)お金は善だ!『金持ち父さん 貧乏父さん』
古典中の古典である『賢明なる投資家』と並んで、米国で特に人気が高いのがハワイ育ちの日系4世であるロバート・キヨサキ(日本名は清崎徹)氏が1997年に著した『金持ち父さん 貧乏父さん』である。当初は自費出版の目立たない本であったが、ジワジワと人気が出てついに『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーにランクインしたという、伝説の一冊だ。すでに「古典」の部類に入っている。
キヨサキ氏の知り合いの父である「金持ち父さん」と、キヨサキ氏自身の父である「貧乏父さん」の考え方の違いを通して語られるメッセージは極めて単純明快だ。
貧乏父さんはなぜ、貧乏なのか。それは、キヨサキ氏の父親のように「金への執着は諸悪の根源だ」「金持ちは、困っている貧者を助けるためにより多くの税金を払うべきだ」が口癖となり、お金が寄って来ないし、逃げていくのである。
ところが、金持ち父さんは違う。お金に対して肯定的で積極的だ。「金がないことこそが悪の根源だ」「どうしたらお金をもうけられるかを考えろ」が口癖になっている。そのため、お金を引き寄せ、手元にとどめておけるのである。金持ち父さんが金持ちであることは、必然なのだ。
これは、方法論を教える『賢明なる投資家』を読む以前に、お金儲けをするために持つべき心構えを教える本だ。投資家になっても、お金に対して否定的な考えを持っていれば失敗するのは自明の理である。キヨサキ氏は、実際の投資手法以前に、自分が持っている基本的な考えをまず確認せよと説く。お金が貯まるも貯まらぬも、それを引き寄せる思考がすべてであるからだ。
事実、バフェット氏をはじめ成功した投資家たちは、みなお金に対して肯定的であり、攻撃的でさえある。その良し悪しはともかく、キヨサキ氏の著書が米国でベストセラーであり続けるのは、人生のタブーとも言える真理を「恥ずかしい」と隠すのではなく、開き直ってさらけ出したからだ。必読の書である。