米国では毎年、多くの「お金の名著」が多く出版される。時代や流行を敏感に反映した本が売れるのだが、一方で「読み継がれる名著」も多く存在する。

時代は変わっても、賢い投資や財産を築くための根本的な考え方は変わらないのだ。では、どのような著書が読み継がれているのか。3冊の「古典」を紹介しよう。

(1)バフェット氏も絶賛の『賢明なる投資家』

(画像=Webサイトより)

お金に関するバイブルと呼ばれる本には、変わらないテーマがある。「勤勉」「自己責任で運命を切り拓く」「成功の秘訣を簡単な法則に煮詰める」「一般人にも実行できる秘訣」「お金は悪ではない」など、基本的な心構えを教えるものが多い。

ベンジャミン・グレアム著の『賢明なる投資家』は、その代表格だ。戦後間もない1949年に初版が出たが、今も米国の投資家の愛読リストに必ず出てくる根強い人気を誇る。あの「投資の神様」ことウォーレン・バフェット氏も、この本の大ファンであることを隠さない。その人気の秘密は、どこにあるのだろうか。

この「バリュー投資の古典中の古典」には、「現在の株価が実際の価値を下回っているお得な株式を探すコツ」が詰め込まれている。最も大切な教えは、「高すぎる株価では買わない」という心構えである。だが、言うは易く行うは難し。相場がイケイケであれば、誰でも浮かれてしまい、実は収益性が低い銘柄や、値がピーク域に達した株に手を出したくなる。

バフェット氏も2008年、原油価格高騰の最中、割高になっていた米総合エネルギー大手コノコフィリップス株に大規模な投資をして、盛大にコケてしまったことがある。当時は、原油が上げ続けるように思えたが、その後暴落して大損を出すことになるのである。

だからこそバフェット氏は、「高すぎる株価では買わない」ための平常心を保つべく、『賢明なる投資家』をボロボロになるまで読んでいるのだ。投資のバイブルと称されるだけあって、投資に必要とされる自己鍛錬の方法や、熱狂の中で心の平安を保つ方法を教えてくれる。ロングセラーであることは、ある意味当然なのだ。

初心者からプロまで、誰でも学べる平易な内容で、バフェット氏は「投資に関する著書の中では、最良だ」と太鼓判を押す。日本語版も出されており、是非手に取りたい一冊だ。